蒼色涙 (ページ2)

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「そろそろ帰ろっか、冷えてきた」
智が空を見上げた。
いいなぁ、と。染まらない彼を見て思った。
「そうだね」
私にだけ、見せた笑顔。

………死ぬほど好きよ、智。

桜の咲く丘をあとにする。

「いつまで、見られるかな、桜」
「さぁ…」
「一年中、咲いててほしいんだけどな」
「なんで」
「智と毎日、絵、描きに来られるでしょ？」
「バカだね」

なんでもいいの。そばいさせて。
たとえ想いが報われなくても。
高望みはしない。

「バイバイ、智、また明日ね」
「おん、気をつけてな」

いつからか、私達の合い言葉になったね。
気をつけて帰れよ。

「智もな」
「余計なお世話だわ」

バカにしたように笑って、また、私を見て微笑んだ。

お腹の底から、叫びたかった。
もうやめて、と。

これ以上、好きになりたくないから。

お願いだから。

隣の家の、扉が開いて、閉まった。

「バカ……」

おとなりさんちの、智。