不器用な僕たちは。 (ページ29)

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「急にごめんな。じゃあ、乾杯」

「乾杯、おつかれ」

急に、なんて

前もって予定を開けて集まるような関係では
私たちはないんじゃないかと内心思うも
黙ったままグラスを傾ける

何か悩みがあるのかなと身構えていたけれど
話の内容は至って普通で拍子抜けしてしまう

「…で、どうしたの？」

そこそこにお酒も進んだタイミングで切り出す

「ん、何が？」

涼しい顔でビールを飲みながら葉山がそう言った

「いや、何か悩みとか話があるんかなって」

「いや大したことじゃないんだけど。
最近、Aから連絡してくること減ったなって」

＂何かあった？＂と聞いてくる葉山に
もしかして何か勘づかれたのかと動揺しかける

海斗と会うようになってから
ほんの少しだけ芽生える罪悪感で
せめて葉山は自分からは関係を持つのはできるだけ
避けようと最近自分から連絡を取るのを避けていた

「別に何も。」

「そっか、ならいいんだけど。それともうひとつ」

そう言って葉山はほんの気持ちばかり姿勢を正して

「…それともうひとつ、俺________」