不器用な僕たちは。 (ページ16)

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すれ違いながら1番最後に歩く海斗と目が合う

「…おつかれさまです、宮近さん」

持っていた段ボール箱で
少しだけ顔を隠しながら呟く

ちらりと顔を見るとメンバーの前ということもあり
仕事モードなのか柔らかく笑う海斗が立っていた

「Aさん、おつかれさまです」

「あ、えっと…」

「じゃあ、失礼しますね」

＂ちゃかちゃん～？＂と呼ぶ川島さんの声に反応し
海斗がぺこりと頭をさげる

お互い控えめに挨拶をし、
それ以上の会話もないまま
その場を後にし編集室に戻った

スマホを開くと海斗から＂またあとでね＂という
メッセージと共に今日の店であろう場所の
位置情報が送られてきている

表立って話せないから連絡を取り合うこの感じ。

高校の時みたいだな、と懐かしく思うと同時に
今日いよいよその時の話をしなければいけないんだと

少しだけ、あの時のように胸が苦しくなった