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「ねぇ、あの人って、彼氏?」
宮近くんが遠慮がちに聞いてきた。
「あの人って?」
「ここに来る前までAさんの隣座ってた人いたじゃん」
あー、翔吾くんのことかな…
「彼氏じゃないよ」
「でもなんかすごい距離近かったから」
「そういう人だからね」
「……。」
「お姉さん、彼氏いないんですか?」
「…いないよ」
「えっ、いないの?」
宮近くんの目がさらに大きく見開く。
「へぇー、じゃあ風磨くんとは別れたんですね」
…………え?
「え、まって、なんで?」
「ん?何がですか?」
「なんで風磨のこと知ってるの?」
「まぁ俺顔広いんで」
にやにやしている神宮寺くん。
だからなんで風磨のこと知ってんの?
「風磨くんって、お姉さんの元彼?」
「そうらしいよ〜」
…まさかここで風磨の名前が出てくるとは思わなかったから焦る。なんでかわかんないけど宮近くんには知られたくない。
悩んでいる私の様子を見た神宮寺くんが教えてくれた。
「俺子供の頃引っ越したんですけど、引っ越す前風磨くん家近かったんですよね。親同士も知り合いで。だからちっちゃい頃よく遊んでもらってました」
「そうなんだ」
「高校の時に1回会ったんですけど、その時優太もいて、お姉さんの話になったんで」
「へぇ…そう」
高校の時って…そんなこと言ったらわかっちゃうじゃん。もう昔の話だからいいんだけど。
…ずっと何も言わない宮近くん。
「てか、今フリーってことっすよね?」
「まぁそうだけど」
「だってさ、宮近」
「え?俺?」
なんで宮近くんに振るの。
「チャンスじゃん!」
もうそういうこと言わなくていいから……
「いや、何年経ったと思ってんだよ(笑)」
…そうだよ。もう何年も前の話だもん。宮近くんにとってただの初恋。大学行ったら私より可愛い子なんてたくさんいるだろうし、高校の時の私との思い出なんてもう忘れてるよね。
「しかも俺彼女いるの知ってんじゃん」
…彼女いるんだ。
ふーん。まぁ彼女くらいいるよね。そんなの当たり前じゃん、こんなにかっこいいんだもん。女子がほっとくわけないよ。
…とは思ってるんだけど、なんだろうこの感じ。
モヤモヤする。
神宮寺くんが、それとこれとは別!とか言ってる。
宮近くんがこっちを見た。
また目を見開いたあと、ふっ、と笑った。
私、また寂しそうな顔してる?
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作者名:みい | 作成日時:2021年3月21日 17時