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私を見て、びっくりした顔の中村くん。
「急に来てごめんね」
「……」
「体調はどう?大丈夫?」
私の顔をじーっと見て何も言わない中村くん。
やっぱり来ない方がよかった?
でも、ドアを開けてくれた。
「おじゃましまーす…」
玄関に入り、ガチャっとドアが閉まる。
「A…来てくれたの?」
「うん」
そう言うと、中村くんがいきなりぎゅっと抱きしめてきた。
ほんのり暖かい中村くんの体。
「中村くん、まだ熱あるの?」
「ん」
「大丈夫…?」
「……」
少し体が離れ、中村くんが私を見つめる。
「うれしい…」
「……」
「A好き」
頬が赤く、潤んだ瞳の中村くんはいつにも増して色気がすごい。
「とりあえず、中入っていい?」
「……」
「ちゃんと寝てないと」
「うん」
寝室に入り、中村くんをベッドに寝かせた。
「何か食べた?」
「なにも。食欲なかった」
やっぱり吉澤さんの言ってたとおりだ。
「今は?お腹すいてない?」
「ちょっとすいてる」
「お粥とかうどんなら食べれそう?」
「作ってくれるの…?」
「うん」
「それなら食べれる」
「わかった。キッチン借りるね」
「うん、ありがとう」
「あとこれ、吉澤さんから。今度ちゃんとお礼言ってね」
中村くんに吉澤さんからもらった袋を渡して、私はキッチンに向かった。
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作者名:みい | 作成日時:2021年12月4日 21時