奪いました。 ページ45
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マネの仕事も全て終わり、更衣室から出てると駆け足で校門へ向かう。門に寄りかかって携帯を触っている彼に近づいた。
「遅くなってごめんね」
「気にしなくていいよ、お疲れ様」
「ありがとう、赤司くんこそお疲れ」
携帯に向けていた視線を上げて、こちらを見た赤司くんと言葉を交わして、そのまま歩き出す。最近はもっぱら赤司くんが送ってくれて、私もそれに甘えてお願いしてる。なんて優男なのか。さすが。
「そう言えばなんだけど徹達と会うの来週の土曜日部活オフだったでしょ? その日だけど大丈夫??」
あーっと思い出して聞いてみる。オフだからやっぱり 休みたいだろうなあ。ごめんよ赤司くん。
「うん、大丈夫だよ」
「なら良かった! 後で時間とか言うね」
「ん 分かった」
短い言葉だけど、それでも赤司くんとなら気まずくはならなくて不思議。しばらくお互い無言で歩いていたら、ふいに赤司くんが口を開いた。
「及川さんと会ったら、また好きなの思い出すんじゃない?」
少し笑って、意地悪そうに聞いてくるいつもどうりの赤司くんだけど、どこか表情が寂しそうで。
絶対ないって言ったら嘘になるけど。なんだろう。
徹には、愛坂がいるしなあ。もう今更どうこうとか無理だし、自分でもそれ分かってるから。特に何も、ないかな。とか言ってみたり。
「へえ」
あれ、赤司くん少し嬉しそう?? なんて思ってみたのもつかの間、なんだ全然興味無さそうじゃん!!
「こら 自分から聞いてきたくせに」
「はは、すまない」
「ハーゲンダッツ一個で許すけど?」
「Aって食い意地張ってる」
もう!!って怒ったふうに言ってみるけど、楽しそうに笑う彼に私も釣られて笑っちゃって。赤司くんの野郎め。あーこれ口に出したら殺される、わたし。
「あ」
赤司くんの手が近づいてくる。
どうやらネックレスに絡まっていた髪を解いてくれているみたいで。時々、指先が触れて、触れられた所が、あつくて。思わず下を向いた。
ぱっと目線が交わる。
「絡まってたから、」
「あ、ありがとう」
頭がぼーっとのぼせたみたい。
家に帰ってからもずっと頭の中でぐるぐるとしてた。
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果汁ジノ%(プロフ) - はい!お気に入り登録してるので通知来たらマッハレベルで飛んでいきます! (2017年11月3日 21時) (レス) id: d083393dd1 (このIDを非表示/違反報告)
哀井(プロフ) - 果汁ジノ%さん» コメントありがとうございます! 更新して無さすぎて、自動的に 完結になっていますがまだ完結していないんですよね… 忙しくて更新が出来ない状況なので遅くなるとは思いますが ただ今執筆中なので、最後まで見て頂けると嬉しいです!!(*˙˘˙*) (2017年11月3日 21時) (レス) id: e5c79f34f5 (このIDを非表示/違反報告)
果汁ジノ%(プロフ) - 完結おめでとうございます!及川さんはこの後どうなったのですかね………(笑) (2017年11月3日 7時) (レス) id: d083393dd1 (このIDを非表示/違反報告)
哀井(プロフ) - 花*Knownさん» 綺麗な文章・・・有難いお言葉嬉しいです!読者様の応援が糧になります。更新については、やはり遅くなると思いますが、ラストスパート全力で書いて行きたいと思います! (2017年3月25日 22時) (レス) id: 9dc989b335 (このIDを非表示/違反報告)
花*Known(プロフ) - 哀井さん» 綺麗な文章に引き込まれました。更新頑張って下さい、応援しています。 (2017年3月21日 23時) (レス) id: 80c755237e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:哀井 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maaaa/
作成日時:2016年1月17日 1時