短編集【wrwrd】 (ページ36)

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翌日医務室で目を覚ました私は、オスマン様から全ての事情を聞いた。問診を終えた軍医が呼んでくれたのだ。

毒を盛られたことについて、総統閣下は「守るべき国民に手を出したということは正当な理由になる」と、やはり喜んだらしい。つまり戦争狂いの我らが総統閣下は嬉々として宣戦布告の書状をあの国に送り付けたということだ。

軍部は現在戦争の準備で忙しくしているが、私は此度の戦闘には参加しなくていいとのこと。

「俺の代わりに毒食らってくれた秘書に、そんな鬼畜なこと言わんよ」

とのことで。

あの後馬車の中で眠った私は要塞に到着しても起きることはなく、毒が回ってきたのだろうと医務室に運ばれて治療を施されたらしい。

更に、私が吐き出したいちごを持ち帰ってきたことが吉と出た。毒の解析ができ、適切な治療ができたようだ。

「Aちゃんさ」

「はい」

「軽すぎや。もうちょっと食おうな」

……ん？

「オスマン様が運んでくださったんですか！？」

飛び上がるような私の悲鳴に、彼は満足そうに笑った。柔和な瞳が私を捉える。

「グルッぺンにケーキ分けてもらったから、体調良くなったら2人で食べような」

戦争が終わったら、向こうのケーキと食べ比べてみようや。