短編集【wrwrd】 (ページ4)

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だって全部、君がわるい。ut ページ4

⚠️微R表現

「全部俺のせいにすればええよ」

私だけに囁かれる甘い言葉。丁寧な愛撫、優しい手のひら。
いつの間にこんなところまで堕ちたのだろう。
行為の後の余韻でぼんやりとした頭で考えた。

私が元彼に浮気されて、女に平手打ちされて、ホテル街をさまよっていたら声をかけてきたのが鬱くんだった。くたびれたスーツに煙草の香りをまとわせて。

なだれ込むようにホテルに行って、慰めてもらって。それを何度も繰り返しているうちに、気づけば世界にお互いしかいなかった。

「ええ子やね、A」

大好きな手のひらが降ってくる。さらさらと髪を梳くように優しく撫でられて、嬉しくなった。

「ええ子やから、騙されてまうんよな」

そう、だから私はもう他の人にはなびかない。こんなに愛してくれたのは君だけだから、私は生涯君しか愛さない。騙されるくらいならもう誰も信じない。

「愛しとるよ」

君だけがいてくれればいい。

「俺がおらんともうダメやんな、ずっと傍にいたるから安心しいよ」

私を不安にさせるのも、安心させるのも、全部全部君次第。私が泣くのも笑うのも、生きるも死ぬも、君のせい。

「全部俺のせいやからな」

こんなに堕ちたのも、きっと。

上裸で煙草を吸う彼に抱きつく。素肌で入るベッドの感触にはもう慣れた。

首元に顔をくっつけて、鬱くんの匂いを肺いっぱいに吸い込む。幸せな気持ちが胸の真ん中にことんと落ちて、くらくらした。

煙草を消した彼は「さむ」と一言こぼしてベッドに潜り込む。私はその額にキスをして、お風呂にお湯を張りに行った。
帰ってくると鬱くんは瞼を閉じていた。今にも寝息が聞こえてきそう。

「もう寝ちゃうの？」

甘えるように耳元に擦り寄ると、彼はくすぐったそうに目を開けた。

「なん、寂しいん？」

「お風呂入れてるよ」

じゃあ沸くまで、と呟いて彼が身体を起こす。おいで、って膝に乗せてくれて、私の首筋に吸い付いた。いびつな赤い花を撫でて、彼はうっそり笑う。

「俺も、Aなしじゃ生きていけんかもしれへんわ」

だからぜんぶ、君がわるい。