短編集【wrwrd】 (ページ17)

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家出少女の運命 ci ページ17

⚠️マフィアパロ、暴言有

「あんたなんか産まなきゃ良かった！」

その悲痛な叫びが脳天を殴った瞬間、私の足は勝手に走り出していた。

ホストに貢いで借金苦に陥った母。私を置いて蒸発した父。怖い人たちが怒鳴り込みに来る生活にもう限界を感じていた私は、生まれて初めての家出をした。

気がついたら夜の繁華街の外れを歩いていて。

ぼうっと滲んだ視界にキャバクラの電光掲示板が眩しい。目が痛くて視線を落とすと、水色のクロックスが目に入った。コンビニに行く時にいつも履いてるやつ。

どうやって暴れる母の横をすり抜けてカバンを取ったのかなんて覚えていない。ただいつものショルダーバッグが肩に引っかかってるから、多分どうにか引っ掴んできたんだと思う。

中を漁ると、五千円だけ入った財布とスマホ。これカバンいらなかったんじゃないの。どおりでやけに軽いはずである。

ノーメイクでクロックス、部屋着の女がこんなところで歩いていたら確実に警察か変態に声をかけられる。それはちょっと嫌だなあ。でも五千円じゃこの辺りに泊まれる場所はないし、駅前まで歩いてカラオケか漫画喫茶を探すしかないだろうか。

母はキレた後、いつも私に優しい。普通の母親みたいに振る舞うから多分私がいそうなところをしらみ潰しに探しに来る。そして見つけたら「私が悪かった」と言って抱きしめてくるだろう。いやそれはそれで普通じゃないかもしれないけど、私に「普通」は分からない。一般家庭の母親なんてイメージでしかない。