短編集【wrwrd】 (ページ13)

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ふう、と息を吐くとAの方に煙が流れていった。びっくりしたような顔でぎゅっと目を瞑る。なんで風下に立つんや。俺が風下に移動すると彼女は「ごめん」と一言謝った。

「中入っとけばいいのに。副流煙吸うで」

「いいの」

Aはこてん、と俺の肩に頭を預ける。めっちゃ甘えたそう。可愛い。

頭を撫でると擦り寄ってきた。ライターを持つ俺の手をすりすりいじってくる。かまってほしいんか。

「ショッピくん」

ショッピくんショッピくん、って俺の名前を呼ぶ声はいっつも可愛い。ほんま俺のこと大好きやんけ。

「んー？」

吸いながら返事すると、くいっと袖をつままれた。

「……ちゅーしよ」

破壊力抜群。あまりの可愛さに若干くらっときた俺は、むせないように慎重に煙を吐き出した。やばい可愛すぎるでしょ。頭を抱えて悶えたいのを抑えて、いたって冷静なふりして答えた。

「ええけど煙草吸っとるから苦いで」

「ショッピくんだからいいよ」

はい爆死。ショッピくんのHPもう0やけど気づいとる？そんなことまで言われて、俺が自制とか我慢とかできるわけないやん。

片手に煙草、片手に彼女の頬。Aは今しがた閉められたばかりのガラス戸に背中をつけて、顔をほんのり赤くする。
可愛くてたまらん。恥ずかしそうにうつむこうとする顔を優しく上げさせて、熱の篭った瞳を見たら止まれんくなった。

あかん、余裕ない。

最初は1回軽いのして終わるつもりだったのに、キスしながら目を開けてみたらAが潤んだ目でこっち見とったから。

貪るように深く唇を押し付ける。それをひと舐めすると恐る恐る柔い唇が開かれた。
すかさずねじ込んで逃げようとする小さな舌を絡め取り、煙草の味を移すように擦り合わせてやる。

薄く漏らすAの声が、毒みたいに頭の中を侵す。たまらなくなって唇を離し、まだ長い煙草を灰皿に押しつけて足早に部屋に戻った。

「あんま煽らんといて」

ソファに押し倒したAは、誰がどう見ても美味そうに仕上がった女の顔をしていた。

「ショッピくんならいいもん」

顔を真っ赤にして逸らす仕草がほんっまに身悶えするほど可愛い。

「煽んなや、手加減できんわ」

応えるように伸ばされた両手を握って、求める唇にもう一度噛み付いた。

買い物は夕方にしよ。