短編集【wrwrd】 (ページ1)

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戦場の踊り子 gr ページ1

⚠️軍パロ

鮮烈だった。死ぬまで忘れない激しく胸を焼く感覚に、全身が熱くなるのを感じた＿＿＿

彼女と出会ったのは戦場だった。血気盛んな仲間たちに煽られていつものように戦場に出ていた時のこと。

屈強な軍人たちには似つかわしくない血飛沫の花。黒鉄色の銃火器から放たれる黄金の火花。戦場に咲いていた名も知らぬ花は赤黒く染まり、踏みつけられて見る影もない。

色鮮やかな視界の中でいっとう輝く鮮烈な女は、我々の軍勢に囲まれながら笑っていた。黒光りする銃を、すらりと長い肢体を、踊るように操りながら。

彼女の前では鍛え抜かれた軍人も地面に寝かされてしまう。気づけば彼女を囲んだ者たちは満身創痍の1人を残して地面に伸びていた。
部下のピンチを察して我が軍の幹部の一人が彼女目掛けて突っ込んでいった。
普段は日光を反射しているシャベルは今だけ血みどろだ。続いて後方から飛んできた弾丸が彼女の髪の1束を焼き切る。硝煙と煙草のにおい。彼女の背後の木から奇襲したナイフは躱され、避けた勢いで緑色のフードが脱げた。

幹部の男3人を相手にして分が悪くなったのか、女は撤退の体勢をとる。彼女が後退りしながらホルスターのハンドガンに手をかけると、茂みから小さな矢が放たれた。我が軍特製の麻酔銃である。二の腕の矢を抜こうと動く片手をトントンが引き、体勢を崩したところをゾムが足払い。ようやく倒れ込んだ彼女は即効性の麻酔で力が入らないようで、ぼんやりとした目で己が作った血の海を眺めていた。
大先生がため息をついた。

「やっと大人しゅうなってくれたな」

「また暴れられたら面倒やし、今のうちに殺しといた方がええやろ」

シャベルを担いだシャオロンがしゃがんで彼女の顔をまじまじと眺める。

「あかんよシャオさん。まだ捕虜がおらんのや」

茂みから顔を出したのはショッピだった。ここに向かう道中で交戦したのか、頬にかすり傷がある。

敵軍はほぼ壊滅状態。かろうじて生き残っていた者たちも撤退命令に従ったようである。振り返った森は焦土と化し、もはや花の香りなど消え失せ、硝煙と血の匂いが散乱していた。ゾムが思い出したようにウエストポーチからロープを取り出す。

彼女がかたく縛り上げられるのを待って、俺たちは揃って要塞に帰還した。