無効化少女

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第六話ページ6

とぼとぼと前を歩く出久。
たまにため息を吐いている出久にボクはなんて声をかければいいのかわからず少し後ろをついて歩く

ふと爆発音が聞こえ、はっとし周りを見ると先ほど黒煙が立ち上っていた場所だった
ぼーっとしてたから気づかなかった…

出久の足が思わず来ちゃってたのか…
ちゃんと周りを見て止めればよかった…

そう思いつつも出久は現場をのぞこうとしていたのでボクも釣られてそっちを向いて唖然とした

『あいつ、さっきの…？』

嘘…、なんで…
ふと隣を見ると出久も同じような心境なのか口元を手で押さえていた

「ヒーローなんで棒立ちィ？」
「中学生が捕まってんだと」

そんな会話が聞こえ、はっとヴィランの方を向く
よくよくみると、確かにヒーロー達は立ち止まっており、ヴィランの泥の中に見慣れた髪色が見えた
あれってもしかして勝己…？

勝己なら、有利な個性持ちのヒーローが来るまで耐えられるか…？

『頑張って、勝己…‼』

誰か、ヒーローがすぐに来るだろうから…
そんな時、誰かが群衆からヴィランの方に飛び出した

『え、え？』

状況が理解できず混乱した
飛び出していったのはさっきまで隣にいた出久だったから

『ちょ、なにしてんのあの馬鹿は‼』

ボクは慌てて人の間を縫って前の方に出る
出久は掴めないヴィランに対し必死で泥を掻き分けながら勝己を助け出そうとしていた

「君が、助けを求める顔をしてた‼」

ふと、出久がそう叫んだ
その時、何故か納得してしまった

出久は根っからのヒーローなんだ。

『出久危ないっ‼』

ヴィランが出久に攻撃しようとしてるのが見え思わず叫んでしまった
ヒーロー達が駆け出すけど間に合わない

その時、誰かが出久を庇うように前に出て土煙が舞う

『オー、ルマイト…』

活動限界のはずなのに…
それでも、人を助けるその姿はまさしくヒーローみたいだった

…いや、ヒーローなんだけどさ。

そんなことを考えてるとオールマイトのパンチの風圧が商店街を襲った

『っ、やば…』

この風圧さっきよりも強い…
てか、間近でこの風圧食らってる二人は大丈夫なの…⁉

風圧が止んだ後、二人の方を見ようと顔を上げるとなにか水滴らしいものが降ってきた

『え、？』

雨？
まさか、今の風圧で…？

『は…、どんな力してんだよ…』

オールマイトの足元で気絶してる二人の姿に安心し力が抜けて座り込んでしまった

『これが、ナンバーワンヒーロー…』