Ωの狐が30匹〜狗巻棘〜 ページ37
『…間に合ってます』
そう言って1歩下がると、相手も1歩俺に近づく
易々と逃がしてくれなさそうだ
無視して誰かの所へ走って逃げてもいいのだろうが…できるだけ背中を見せたくない
見せかけのチョーカーをしているとはいえ、こいつにうなじを見られるのは何か嫌だ
「番もいねぇのに間に合ってるだと？」
『…決めた相手いるんで』
それを聞いた相手はどうすることもなく
ただ、俺を指さして笑った
「Ωなんかの恋心なんて報われる訳ねぇだろ」
相手の戯言だ、気にしたらいけない
そう思っているはずなのに、胸の辺りがズキリと痛んだ
嘘で誤魔化そうとした結果、自分が傷ついてしまうなんて…滑稽だ
相手の手が俺の腕へと伸びる
少しだけ後ずさるも、気分が沈んだせいか動きも鈍くなる
狗「触るな」
その一言で男の腕がピタリと止まった
声の主は後ろから俺を抱きしめるようにし、相手を睨みつける
『棘先輩…』
怒った棘先輩は初めて見る
こんな顔をするのか、と見つめてしまう
ポカンとする男に棘先輩はまた言葉を放つ
狗「立ち去れ」
そう言われた男は出口へと向かう
その背中を見送る間もなく、棘先輩は俺を正面から抱きしめ直す
狗「…こんぶ？」
『あ、大丈夫ですよ、何もされてません』
パッと笑ってみせるが棘先輩はじと、と俺を見つめる
ダメだ、棘先輩相手には隠せない
『…嘘です。ちょっとだけ傷つけられました』
ぽつりと呟くと棘先輩は少し慌てたように俺の体を見つめる
『あ、怪我はしてません、…言葉の方です』
狗「高菜？」
『…Ωに好かれることは、迷惑でしょうか』
そう言うと、だいたいどんな事を言われたのか分かったらしい先輩は「おかか」と否定しフードを被せる
棘先輩も同様にフードを被ると、噛み付くようにキスを落としてくる
フードで少し暗くなっているからだろうか
まるで2人だけの世界になったようだ
『んっ…』
息が苦しくなるまで
酸素を求めて口を開けるまでキスは続いた
いつもなら舌を入れられるが、ただただ長いキスをされる
『…っは…』
狗「いくら、すじこ」
口が離れると、棘先輩は俺の腕を掴んで自分の胸へと当てる
ﾄﾞｸｯ、ﾄﾞｸｯ_
早い心臓の鼓動を掌から感じる
棘先輩を見ると顔は真っ赤になっている
つられて俺の顔も赤くなる
狗「こんぶ！ツナマヨ！！」
『ひぇ…』
情けない声を出すと
先輩はフッと笑い、そのまま指を絡ませ俺の手を引いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 642人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
有無@気ままに更新(プロフ) - 呪術廻戦好きｶﾞｰﾙさん» コメントありがとうございます！ご愛読頂きありがとうございます！更新頑張りますー (2021年4月8日 8時) (
レス) id: 5c479b641a (このIDを非表示/違反報告)
呪術廻戦好きｶﾞｰﾙ - いつも楽しく見させてもらってます！ これからも頑張ってください！今は更新亀さんだしそんなにだしてないけどぜひ私の作品見てみてください！(´`*) (2021年3月27日 13時) (レス) id: bb4087a6f5 (このIDを非表示/違反報告)
有無@気ままに更新(プロフ) - 夜空さん» コメントありがとうございます！楽しく読んで貰えているようで嬉しいです…！ネタが枯渇してきましたが頑張って更新していきます！ (2021年3月26日 22時) (レス) id: 5c479b641a (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - いつも楽しみく読ませてもらってます、更新楽しみにしてます頑張ってください (2021年3月26日 14時) (レス) id: 51f6c9b5da (このIDを非表示/違反報告)
有無@気ままに更新(プロフ) - 果鈴さん» コメントありがとうございます！ほんとだ…全然気づかなかった…！ご指摘ありがとうございます！助かりました！お恥ずかしい限りです…これからも楽しんでくれると嬉しいです(*_ _) (2021年3月15日 21時) (レス) id: 5c479b641a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：有無@気ままに更新 | 作成日時：2021年1月17日 15時
