先祖返りの狐様【呪術廻戦】 (ページ37)

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狐が33匹ページ37

五「お疲れ様。……なんか増えたね」

建物を出ると悟が軽く手を振る
目線の先には5本の尾

『2本もな』

五「1級喰ったの？」

小さく頷く
…今更だが、悟は俺が呪霊を喰うのをあまり良く思っていない

言葉には強く出さないが、呪霊を喰うと、悟は目の奥が悲しそうになる

五「うっわ、美味しいモンでもないでしょ、お腹壊したりしないの？」

ほら
おちゃらけたように話すけど、いつもよりよく喋る
早口で、言葉が異様にスラスラと出てきて、余裕が無さそうだ

でも、俺も気付かないふりをする
きっと、俺が話したら嫌な雰囲気になるし

『めっちゃ不味い、吐きそう』

五「ほらね」

うえー、と舌を出す悟
嫌なのは十分分かった

…俺は、居なくならないのにな
そう小さく思い、すぐに切り替える

『んで、どう？推薦できそう？』

五「うん、やりすぎ」

『は？』

やりすぎとは？
こちとら命掛けて祓ったのに

五「ちなみに、尾が5本になってから、1級は弱く感じた？」

『え、まぁ…あの1級は全然』

幻術にはすぐかかったし、分身にも気づかなかった
何だかんだ、尾が増えてからは1発で倒せてるし
そこまで大きな敵にはならなかったのが正直なところだ

五「僕はAのこと推薦できないけど、見立てだと特級…にはいかないけど1級は確実だろうね」

『まぁ…1級倒せた、ってなるとそうなるのか』

露骨に興味がなさそうな返事をする
階級には本当に興味が無いのだ

五「あの幻術はともかく、分身の方はもっと精度あげないとね。特級なら殺した時の手応えの無さにすぐ気づくんじゃない？」

『今日初めて使ったんだぞ。そこまで言うか…』

だが尾が増えれば技の威力、身体能力、精度…どれも多少なりとも変化はある
このまま尾が増えれば精度も上がっていくだろう

五「A」

『ん？』

五「焦るなよ」

見透かされた
尾が増えることは良い事だ、だが体への負担も少なくない
現に今だって、呪霊を喰ったせいで気分が悪い
これで焦って無理やり尾(呪力の器)を増やしてみろ
体が耐えられなくなるだろう

五「あの3人だって、もう弱くない。そこまで過保護にして、逆に成長の妨げになるかもしれないよ」

『…わかってる』

さっきまでとうってかわり
弱気な声が出てしまう

そんな俺を見て、悟は俺の頭を撫でる

変な雰囲気になりながら伊地知さんの車を待った

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『…吐いたらごめん』

五「我慢して」