我が家の忠犬 (ページ10)

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「お嬢、今日はこっち行きましょ」

『え、そっちの道行ったことないで』

「大丈夫すよ！ちゃんと俺がついとくんで」

いや…どっちかというとあなたの散歩に私がついてんのよって

この前キョウヘイくんと出会ってから

ケンは散歩の時、知らない道を通るのが好きになったらしい

まあ良い運動になるしいいかな、なんて

「わ、見てお嬢～公園やで」

『ほんまや、結構広いな…』

「……」

『…ちょっと寄ってこっか、』

「！」

いいんすか、とか言って嬉しそう

そんな期待に満ちた目で見られたらこう言うしかないやん…

公園の中の人はまばらで、砂場で遊ぶ子供やブランコに座る女の子たち

あとベンチに座る男の子とその足元に座る…

『…わんこ…やんな…？』

パッチリした目のハーフ？っぽい男の子

ピンとした三角の耳、尻尾はふかふかそうだ

「犬仲間がいる～」

『えっ、ちょっと！ケンっ』

「こんにちは～俺ケンっていいます」

ニコニコ、自己紹介するケン

いや相手の子びっくりしてるやん…

「わ～シベリアンハスキーや～」

『あ、その、ごめんなさい急に…』

「ええよ～わんちゃん名前なんていうん？」

『ケンっていうて…えっとその子は、』

「この子はね～、リチャード！あ、そんで僕は大橋っていいます～」

よろしく、ってぽわぽわ笑う大橋くん

「よろしくなぁ、リチャくん」

「よろしく…やけど自分急に絡むんやめといた方がいいで、ビビられんで」

「次から気をつけるわあ」

尻尾はパタパタ、ご機嫌なケンを見て困ったように笑うリチャードくん

なんか…お母さんみたいやな…

『リチャードくんは…日本犬やんね？』

「そ！四国犬やねん～」

『なんでそんなアメリカンな名前…』

「やって横文字の方がカッコよくない？」

無邪気に笑う大橋くん

「カッコええ！キリッとしてるもんなあ」

こちらも無邪気な笑顔で同調するケン

「大変そうやね、お互い、」

また困ったように笑うリチャくんにわたしも大きく頷いた