我が家の忠犬 (ページ9)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:22,194 hit

◎ 9 ◎ ページ9

「ふんふん…ん～…こっち！」

「次はこっち！」

少ししかめっ面で匂いを確認しながら

どんどん進んでいくケン

『こんなところ初めて来た…』

私たちがちゃんと帰れるかな…少し不安

「なんかこの辺見覚えある気ぃする…」

『キョウヘイくんはあんまり外出んの？』

「普段は出たらあかんて言われてんすよ」

なるほど、初めてやったんか

そりゃ迷子なるわ…

「だいぶ近いと思うで、」

ケンがキョロキョロしながら言う

『匂いだけで特定すんのは難しいかな…』

さっき近くに交番があったから…

そこにキョウヘイくんを預けるのも手か、

なんて考えていると

「あ～！おった！」

私の前にバッ、と何かが現れて

キョウヘイくんに飛びつく

『え？』

「お～、ケント来てくれたん」

「どこ行ってたんよ～探したで」

サラサラな茶髪から茶色い耳が少し見えて

短めの尻尾の、ふわふわした毛並みの男の子

「わー！おっきい犬！すごい！」

嬉しそうにケンの周りをちょこちょこする

『キョウヘイくん、その子…』

「ケントっていって、俺の弟分っす」

「えー違うやろ！年下やけど僕の方がしっかりしてるもん」

少し膨れっ面でキョウヘイくんを見る

『ケントくん、キョウヘイくんを迎えに来てくれたん？』

そう聞くと、パッとこっちを見て笑う

「そうです！僕らの飼い主のみっちーがね、キョウヘイがおらん～て困るから」

「みっちー学校から帰ってきた？」

「まだ！今から帰れば多分間に合うやろ」

帰ろ！とキョウヘイくんの手をとる

「送ってもらってありがとうございました」

ぺこり、頭を下げるキョウヘイくん

「ええよ～一緒に散歩出来て楽しかったし」

『もう迷子ならんでね、キョウヘイくん』

「…がんばりますっ」

『ケントくんも、気をつけて帰ってね』

「お姉さんありがとうございます！」

元気いっぱいなケントくんに手をひかれて

キョウヘイくんは楽しそうに帰って行った