我が家の忠犬 (ページ4)

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『ただいま～』

玄関の扉を開けて靴を脱ぐ、その間に

…あいつが来る、はず

「おかえりお嬢、散歩行こお！」

バタバタ、駆けてくる我が家の愛犬

口にはリードがに咥えられている

『はい、ケン、おすわり』

「はいっ」

大人しくおすわりしたケンの首輪にリードを…

……………

なぜかケンが人の姿に見えてる今、

首輪にリードを繋ぐのは少し躊躇われるな…

「…お嬢？どうしたん？」

不思議そうにこっちを見て

「はいっ、こうした方がつけやすいやろ？」

そう言うと私の肩に手を置いて少し屈む

「ん、はよつけて～」

私の方に顔を近づけてニコニコ

いやいや距離感…！

『っ、分かった、から…！またおすわりしてっ』

…で、結局

「おわ～今日寒いな、お嬢、」

『…寒いねえ』

ケンの首輪にリードをつけて歩く私…

なんだか複雑な私の心境には気付かないケン

「な、今日あっち行きます？」

そういって示すのはよく寄る公園がある方向

『…ん、行こか』

そう言うとまたパッと嬉しそうな顔

まだまだ寒いからか公園に人の姿はまばらで

ベンチに座ったりする人が多いなか目を引いたのが

芝生を楽しそうに走り回る男の子

楽しそうに、ふわふわした尻尾をぶんぶん振っている

…ん？尻尾？

「あ！ケンくん！おねーさん！」

男の子がこちらに気付いて飛びついてくる

ケンと同じくらい背が高くて

柔らかそうな黒髪からは垂れ耳がひょこひょこ見え隠れする

「お～、マサヤ～！」

『マサヤ…くん…？』

少し離れた所から、マサヤくんの飼い主のおばあちゃんが会釈してくれている

この子、ケンとよく一緒に遊んでくれてる

ゴールデンレトリバーのマサヤくん…？

「おねーさん、どうしたん？」

こてん、と首を傾げて呆然と立ち尽くす私を見る

きゅるきゅるした瞳に自然な上目遣い

人の姿でも、仕草はいつものマサヤくんだ

ケン以外の他の子でも人の姿に見えるのか…

理解しつつも驚きを隠せない私を

2人(2匹？)は不思議そうに眺めていた