我が家の忠犬 (ページ3)

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『…んん～…』

「お嬢、おはよお！」

『…ん、おはよ…お…』

ふわふわした何かが額に触れる

ふかふかな布団みたいな優しい匂い

『…こしょばい…』

重たい瞼を開ける

『…う、わあぁっ！？』

「起きた～」

ベットに手をかけながら

私の額にぐりぐりと頭を押しつけて

「朝ご飯食べたい」

満面の笑みを浮かべてそう言うこの子

我が家の愛犬・シベリアンハスキーのケン

昨日からなぜかこの子が人の姿に見える

『…ご飯食べに行こか、』

「は～いっ」

尻尾をふりふり楽しそうについてくる

背は私より20センチくらい高いかな、

廊下は狭いしケンはでかいしで威圧感がすごい

「ふぁ～…あ、おねーちゃんおはよお」

『おはよ、斗亜』

「ケンも、おはよお」

「おはよお、斗亜～！」

私以外にはケンが犬の姿で見えてるようで

今までのようにわしゃわしゃと頭を撫でる斗亜

…と、嬉しそうにニマニマするケン

自分と同い年くらいのそこそこガタイのいい男の子が

小柄な弟に頭を撫でられている図…

なんか複雑なものがあるな…

私と斗亜が食卓につくと

いつも通り私たちの足元にちょこんと座って

ご飯を食べ始めるケン

…まあ、ケンは犬なんやけど

今の私には人がドッグフードを食べてるように見えるから

見ていると少し申し訳ない気持ちになってくる

「？」

まじまじ観察する私と目が合うと

嬉しそうにニコニコしてくるから

人の姿でもこんなところは可愛いなあ、なんて

『よし、行ってきまーす』

準備を終えて家を出ようとする、と

「お嬢～」

玄関に駆けつけてくるケン

「お嬢どこ行くん？散歩？」

『学校、行ってくるね』

そう言うと私の肩に手を置いて

「いってらっしゃい～」

『…っ、！？』

頬にキスしてくるから

『え、と、その…行ってきます…』

分かってるよ、でも犬だと分かっていても

これでは心臓がもちそうにありません…