肆拾話 ページ42
「遅い」
どのくらいたっただろうか。三十分はもうすぎているはずだ。
「どこかで野垂れ死んでるんですかね」
「あの人に限ってそれはないでしょ」
清光も飽きてきたのか私の肩に頭を預け、グリグリしてくる。
そっと撫でてやると、嬉しそうに顔をほころばせた。
このままだといつまでたっても帰ってこなさそうだし、あまり長引くと清光も可哀想だ。
何より、ずっと待っている山姥切が可哀想に見えて仕方がない。
「私、ちょっと見てきますね。すぐ帰ってきます」
「はーい、いってらっしゃい」
にっこり笑って手を振ってくれる清光に私も控えめに手を振ってから部屋を出た。
長い廊下を歩き、手当り次第襖を開けていく。
すると、一箇所何やら物音がするところがあった。
「ここにいましたか、クソ暗奈ァッッッ!!」
「だから、お口が悪い!」
正座をしてこちらを見上げる暗奈
「何してたんですか」
「別に大したことはしていないわ。さ、あたしの近くにきなさいな」
「嫌ですよ」
暗奈が隣をポンポンと叩くが、無視して正面に座る。
「あら、まだ恨んでるの?あの事」
「当たり前じゃないですか。恨まないわけがないです」
あの日の出来事を引っ張り出され、胸がズキッとした。
「でも、事故だから仕方ないとは思っていますけど」
「いいえ、事故じゃないわ」
「は...?」
時が止まった気がした。
何かの間違いだと思った。
目の前の暗奈は不気味に笑っている。
「あたしが意図的にやったのよ」
「なんで、そんな.......」
「何でって、そりゃ憎かったからよ」
そこで私の中の何かがプツンと音を立てて切れた。
私は暗奈を押し倒し、懐のナイフを取り出して目にいっぱいの涙を貯めて声を荒らげて叫んだ。
「この、大嘘つき!!!」
****
第二部へ続く...
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*しち*(プロフ) - 麻月☆さん» そやね! (2017年6月5日 18時) (レス) id: cc0bb99201 (このIDを非表示/違反報告)
麻月☆(プロフ) - *しち*さん» ほたとつるね〜!どっちも可愛いよね〜ここじゃあれだしボードいかない? (2017年6月5日 18時) (レス) id: 2189571e01 (このIDを非表示/違反報告)
*しち*(プロフ) - 麻月☆さん» ゲームはしてないけどアニメは見ますたっ!!蛍丸と鶴丸推しじゃ。 (2017年6月5日 7時) (レス) id: cc0bb99201 (このIDを非表示/違反報告)
麻月☆(プロフ) - *しち*さん» だよね〜〜〜とうらぶ知ってんの? (2017年6月5日 7時) (レス) id: 2189571e01 (このIDを非表示/違反報告)
*しち*(プロフ) - 麻月☆さん» あのしちちゃんだよ?(真顔) (2017年6月4日 23時) (レス) id: bc3a158958 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麻月☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/my3126rk5/)
作成日時:2017年5月19日 23時