【刀剣乱舞】愛し、愛され、花丸百点！【加州清光】 (ページ29)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:43,814 hit

弐拾漆話ページ29

縁側で涼しみながら月を見る。

いつも誰かといるけど、こうして一人でいるのもゆっくりできて割と好きだ。

「ねえ主～」

「はぁーい」

背後から腕を回され、耳元に聞こえる拗ねたような声。

振り返らなくてもわかる。

いつも一緒にいるのだから

「清光、ご機嫌斜めなんですか？」

「そ、俺ご機嫌斜めなの」

私から離れ、隣に座る清光。

頬を膨らませて自分は機嫌が悪いということをアピールしている。

「ふふ、可愛いですね」

「今欲しいのはその言葉じゃなくてー！」

「じゃあ何なんですか」

私の顔を見てむっすーとする。

彼は私との間に腕をおいて唇が触れるギリギリまで顔を近づけた。

「俺、キスされてない」

眉を下げて私におねだりをする。

わがままな清光。

そんなところも愛おしくて、頬にキスを落とす。

「はい、これで満足ですか？」

「全然足りない」

どうすればいいか尋ねるために開きかけた唇はいつの間にか清光によって塞がれていた。

お互いの唇が離れると、清光が唇に人差し指を当てて妖艶に微笑んだ。

「ごちそーさま」

立ち上がって御機嫌に去りゆく背中を見届けたあと、ポカーンとしたままなのに気づき、開いたままの口にそっと指を這わせ、今さっき起きた出来事を思い出す。

「～～っあれって....」

いくら恋愛に鈍い私でもわかった。

あれは恋人同士でする愛情表現だということ。

それを自覚した瞬間、顔に熱が集まっていく。

「私ってまだ恥じらいがあったんだ...」

ポツリと呟いた言葉は夜闇に紛れ、誰にも聞かれずに消えていった。