弐拾陸話 ページ26
「見事見事」
暗闇から拍手の音が聞こえる。
だんだんとそれは姿を表し、彼らの前に現れる。
「闇の黒狐さん」
「どなたかしら」
「おっと、これは失礼。僕は徳冨と云う」
「徳冨....あの指名手配犯の?」
「ご名答」
徳冨という男は駅に爆弾を仕掛け、駅ごと破壊。
約、五百人以上もの命を奪った。
それだけでは飽き足らず、地下鉄に毒を撒くなど、殺した人数は一ヶ月で千人以上にも及ぶ。
「手の込んだ悪戯だねえ」
「 太宰、一寸、離してくれないかしら」
キスをする際に芙美子の腰に回した腕。
芙美子はまだ腰にある手を見て太宰に云う。
「えー、やだー」
「我儘ね.....」
太宰を無視し、徳冨と名乗る男を見る。
其奴は、黒いスーツに身を包み、シルクハットを被り、杖をついたダンディなおじさんというに相応しい格好だった。
「さて、君たちはどうする?殺すかい?」
「まだ殺さないわ。その時が来たら殺すけれど」
「ほう。では君は何がお望みかね、綺麗なお嬢さん」
「先ず、私の質問に答えなさい」
「なんなりと」
こちらはいつでも徳冨を殺せるというのに、相手は動揺もしなければ武器も持っていない。
芙美子は質問を慎重に選ぶ。
相手を刺激しないように。
かつ、貴重な情報を聞き出せれるように....。
「どうして貴方は殺人なんかを繰り返したのかしら。なにか理由でも?」
「理由....ですか...。そんなものありませんね」
「そう...。ただ、快感を求めたかったとでも云うの?」
「まさにその通りですな」
顎鬚をなぞり、笑う徳冨の顔には罪悪感など微塵もない。
ただ、私は悪いことをしていないとでもいうような顔が芙美子には酷く残酷に思えた。
(こんな人に殺された方が報われないわ...)
「じゃあ、貴方はどうして私たちの前に現れたのかしら」
「そうですなあ.....」
「快感を得るため、かね」
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麻月☆(プロフ) - 暁美 萌さん» ありがとうございます!!励みになります(*˙˘˙*) (2017年12月20日 6時) (レス) id: 2189571e01 (このIDを非表示/違反報告)
暁美 萌 - 面白い!!気に入りやした\(^∀^)/ (2017年12月19日 23時) (レス) id: 138e63448f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麻月☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/my3126rk5/)
作成日時:2017年2月9日 23時