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「Aちゃん、あーそぼっ!」
『いいよー!今日は何して遊ぶー?』
隣の家のさっくんとは産まれた時からの幼なじみ。
同じ病院で産まれてからずっと一緒に育ってきた。
大人になるなんて知らなかったその頃は、
「ずっと一緒にいようね」
なんてなんの邪な気持ちもなく本気でそう思っていた。
親同士もとても仲良しで、そんな私たちをいつも微笑ましく見守ってくれていた。
小学校に入っても毎日一緒に登下校して、毎日一緒に暗くなるまで遊んで、
子ども頃のわたしはさっくんが世界の全てだった。
ちょっと変わったことと言えば、高学年になってひかるという男の子と同じクラスになってから時々三人で遊ぶようになったことぐらい。
ひーくんは運動神経もよくてみんなの人気者で、いつもクラスの中心にいるようなそんな存在だった。
それに対してさっくんはアニメや漫画が好きで内気で、どちらかというと友達も少ない方。
そんな一見正反対に見える二人だけど、波長が合うのか一瞬で仲良くなってめちゃめちゃ意気投合してた。
わたしはさっくんがひーくんに取られたみたいで、子どもながらの独占欲というか、ひーくんが嫌いになりかけたこともあったけど
わたしには分からない男の子同士のノリで楽しそうに笑うさっくんを見て、
さっくんが楽しそうならいっか、とひーくんにも次第に心を開いていった。
いつまでもこんな日が続くと信じて疑わなかった小五の冬。
お母さんからの言葉で世界が真っ暗になった。
「佐久間さん家、引っ越したら寂しくなるわねぇ」
…え?引っ越し?
なにそれ、聞いてない…。
予想以上にショックを受けているわたしを見て、母は狼狽えているようだった。
「あ、まだ大介くんから聞いてなかったの?
まぁでも日本にいるんだからまた会えるわよ。」
その言葉はもうわたしの耳には届いてなかった。
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作者名:My | 作成日時:2021年10月20日 17時