約束【桃】 (ページ23)

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▶︎照Side

照「どうした？なんかあった？」

俺は深呼吸をしてなるべく冷静にAに尋ねる。

しばらくAは言いづらそうにしていたけど、掴んだ腕を離さない俺に観念したのかゆっくり話してくれた。

『照のことかっこいいって言ってる子いっぱい居るんだよ？…それに照のこと好きな子だって。

本当の彼女でもないのに照の恋愛の邪魔しちゃってるのかなって思ったら、…付き合ってるフリするの、嫌になっちゃった』

…なんだよ、それ。

それってまるで、俺がその子たちと恋愛してもいいって言ってるようなもんじゃん。

『照だってせっかくの高校生活、わたしみたいな仮じゃなくて本物の彼女作って青春したいでしょ？』

『照の青春、わたしの犠牲にしたくない』

さっきから何言ってんだよ。

Aの言葉を聞いてるうちに俺はどんどん顔が歪んでいく。

『わたしが頼んだのに勝手で本当にごめん』

『朝も、もう迎えに来なくて良いから…じゃあ帰るね』

一度も目が合わないまま、Aは振り返って歩き出す。

その小さな後ろ姿に俺は必死に声を掛ける。

照「Aは俺との時間楽しくなかった？
…俺のこと少しも意識してくれてなかったの？」

俺はAといる時間が何より楽しくて幸せだった。

手を繋いで頬を染めたAに脈ありかもなんて思ってた自分が馬鹿みたいだ。

照「Aはもう俺に守られなくてもいいの？」

あの時俺が守るって誓ったのに。

照「そんなに俺の側にいるのが嫌なら、

…なんで泣いてんの？」

その言葉にピクッとして立ち止まるA。

照「そんな中途半端じゃなくてちゃんと俺の目見て言ってくれないと俺も納得いかない」

無理やり振り向かせたAの顔は涙でぐちゃぐちゃで、

俺は気が付いたら唇を重ねていた。

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