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文化祭二日目。



コスプレ喫茶は大盛況のうちに終わった。





そして今夜は後夜祭。



「後夜祭でダンス部の発表あるから絶対見に来て」と照に誘われていたので、友達と一緒に体育館へ観に行く。



照とふっかが踊ってるところ、初めて見るなぁ。



わくわくしていると体育館の照明が落ちてステージ上にスポットライトが当たり、照とふっか含めたダンス部の人たちが出てきた。




音楽に合わせて軽快なステップで踊り始めた照は想像以上にかっこよかった。


普段の二人からは想像できないような動き。


照とふっかはバク転やバク宙までして、その度に「キャー」と悲鳴にも似た歓声が体育館中に鳴り響く。




「Aー?いいの?あんたの彼氏モテてるけど」



友達の言葉にまた心臓がチクっとする。



でも本当の彼氏じゃないし。



それを友達にさえ言えない自分にもまた罪悪感で落ち込んでしまう。




けど、ステージを見れば踊ってる照は最高にかっこよくて。



この二日間で好きになった女の子何人もいるんだろうな、

なんて考えてたらどんどん胸が痛くなってきた。




踊り終わった照となんとなく目が合ったような気がして、拍手をしながらにこっと微笑むと、目が無くなるぐらいくしゃっと笑いかけてくれたような気がした。




この笑顔がわたしだけに向けられたものならいいのに。




そんなことを思ってしまった自分に、自分が一番びっくりした。











後夜祭も終わり興奮冷めやらぬ中、テンションが上がってなかなか帰ろうとしない生徒たちに先生たちが帰りを促してやっとみんなぽつぽつと帰り始めた。




「Aはー?岩本くんと帰るの?」

『うん、今日家まで送ってくれるって言ってたから』

「ラブラブ〜!じゃあ、またねー!」




友達とバイバイして照を待つけどなかなか来なくて、

探しに行くと同じダンス部の女の子と楽しそうに笑ってる照。




ぼーっと見てると照はその子の頭をぽんぽんと笑顔で撫でる。



その瞬間、その子は顔が真っ赤になって、あぁ照のこと好きなんだなって気付いてしまった。





誰かに掴まれたみたいにギュッと痛む心。





わたし昨日からどうしたんだろ…






わたしはその場に居たくなくて、声を掛けるのも何か嫌で立ち去ってしまった。





…もう、帰ろう。







心が痛くて苦しくて、初めての感情にどうすればいいのか分からないわたしの頬を気付いたら涙が伝っていた。





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作者名:My | 作成日時:2021年10月20日 17時

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