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▶︎照Side





楽しかった花火大会もあっという間に終わってしまった。



手を繋いで帰りながら、もう終わりかーとチラッと横目でAを見る。




うなじ、色っぽいな…


この真っ白なうなじに唇を這わせたら、Aはどんな反応するんだろう。



どうしよ、Aに触れたい。


今日ずっと手繋いでても嫌がんないし、もしかしてこのまま告ったらOKもらえないかな?





妄想がどんどん膨らんでいる俺にAがぽつりと話し始める。




『照さー、昔さっくんと三人で手繋いで帰ったの覚えてる?』



突然、記憶の底にいた佐久間の名前を出されてドキッとする。



『わたしとさっくんがさ教室でアニメの話して盛り上がってたら、さっくんは男なのに女が見るようなアニメ見てるのおかしいって揶揄われてさ、
それで何も言えなくなってるさっくん見て照が何を好きだって佐久間の勝手だろ!それが佐久間だろ!って怒ってくれてさ。

その後わたしとさっくん二人とも泣いちゃって、何故か照も泣きそうになって、三人で手繋いで帰ったよね。

何故だか分かんないけど突然思い出しちゃった』




…そんなことも、あったっけ。




けど何で突然佐久間?





…そういえば、佐久間とAって両思いだったよな?


もう引っ越して何年も経つしまさかまだ好きってこと、ないよな?


もしかして佐久間のことが忘れられないから誰とも付き合わないとか…?





照「もしかしてAって今でも佐久間のこと、好きだったりする?」


急に不安に駆られた俺は無意識に聞いていた。



『え!?まっさかー!もう引っ越して何年も経つし、さっくんだって向こうで好きな人出来てるよー!』



そう言って笑うA。




だけど俺がAのこと考えてる間、Aは俺と手を繋ぎながら佐久間のこと考えてたんだって思ったら、なんかすごくムッとしてきた。




それと同時にもしも佐久間が引っ越してなかったら


今もAの側にいたとしたら、


俺はこうやってAの隣を歩くこともなかったかもな…と自分の中で焦りにも似た感情が渦巻く。




頭の中で嫌な考えがぐるぐると巡っている間にAの家の前に着いてしまった。




『照、今日はありがとう。楽しかったよ』




俺はどうしたいんだ?


本当にこのままでいいのか?




『…照?』




不思議そうに見つめるAを俺は気付いたら抱きしめていた。





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作者名:My | 作成日時:2021年10月20日 17時

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