その手を取って

♯21 ページ21

after that time



「よし！OK!次は教会に移動」


今日は一段と暑い1日になりそうだな...



相変わらず俺の好きな場所はスタッフ達が行き交い慌ただしい現場だ
監督の指示で教会へと移動しようと踏み出せば、目の前に腕が差し出され、その先を見上げれば

「ひろ、掴まって」
にっこり微笑む光沢グレーのフロックコートを着た太輔
「うん...」
躊躇なく彼の左腕に右腕を絡め静静とエスコートされながら教会へ


あの後あまりの反響に第2弾が本当に決まってしまい、監督をはじめスタッフや社長までが乗り気で、又しても俺はウェディングドレスを着ることになってしまった

「暑いね…ひろ大丈夫？ 教会内は涼しいと思うからもう少し頑張って」
「太輔こそ、首が詰まってるから暑いだろう 教会に着いたらひとまず水分取らないと」

そんなたわいない話でも太輔となら暑さも感じない

「それにしても今日のひろもめっちゃ綺麗だ このドレス凄く似合ってる」
「ありがとう...っていうべき？ なんか複雑だな」
「是非本番の時も宜しくね」
「...本番？」

すーっと耳元に唇を寄せ″俺たちの″と囁く

思わず大声を出しそうになるほどびっくりして、身体を引き太輔の顔をまじまじと見つめる

「本気だから ひろと一生一緒」
「.....」
「もうひろの手は離さないから 観念して」

そう言って少し照れた顔をし、行くよと歩き出した

あの日太輔に会わなければこうして再び光の当たる大好きな場所に立つことは出来なかったと自覚してる
大好きな人の隣で一生一緒...

俺の手に差し伸べてくれた無限の愛を感じ、太輔が喜ぶのなら本番でも着ていいかな…

近い将来本当にそんな情景が起こる事を願い、絡めた腕に力を込め離れないようついて行くのだった



Happy end

2018.4.4 pearl

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