喧嘩 ページ22
○
す「そうか。」
それっきり 黙り込んでしまったすばる。
嫌な沈黙が この寝室を支配している。
あ「でも、ちょっと話しただけで 本当に父親か分からないし、正直 顔も名前も知らなかった人なんか 今更 父親なんて思えないから。」
す「その人のとこに戻ろうとか 思うてる？」
あ「思うわけない！」
す「思ったんちゃう？少しくらい。」
あ「だから!!」
す「ほな なんで最近 ちゃんと目見て話さんの？」
あ「それは、」
す「俺に 後ろめたいこと、したんか 思うたんか どっちかやろ。」
すばるに叱られたことはある けど、これは 叱るとか 怒るとかじゃなくて、悲しんでるって感じた。
そして、喧嘩 のような 感じさえした。
す「お前が変な感じやから 息抜きにと思って 大阪帰るのも誘ったんに 断るから、学校の事やなくて 家の事で こんななってるんや思うたら 俺 おる意味あるんかなって 思ってもうた。」
あ「あるよ、だってあたし すばるのこと 好きだもん!!」
す「…。」
あ「最近、その父親だって言ってきた人から ストーカー受けてるの。」
す「はっ!?」
あ「怖かったけど、話しかけてきたのは 一番最初の日だけだったし 学校がない日は 外に出ても 気配感じないから、そんなに問題にしない方がいいのかなって思って。」
す「すぐ言えよ。」
あ「だってすばる忙しそうじゃん。余計な心配かけたくなかったんだもん。」
す「あのな、心配くらいさせてくれよ。仮にも今は お前の親父は俺や。」
あ「…うん。」
○
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作者名：章佳 | 作成日時：2018年5月23日 21時
