1人じゃない ページ12
○
あ「あたしには すばるしかいないの。お願い、1人にしないで。」
あたしが 泣き叫ぶように 言うと、ポンポンと 頭を撫でられた。
す「俺だけちゃうやろ。お前にはたくさん友達がおる。」
す「花ちゃんやって お前のｺｺに 生きてんねん。」ﾄﾝﾄﾝ
そう言って グーにした手で 左胸を叩く。
あ「うん。」
す「もちろん俺も お前を離したりせえへんわ。」
す「俺のメンバーらも 皆、Aの味方やからな。」
力強い目で 訴えるように伝えた すばるは すぐ後 ﾌｯと視線を逸らすと あたしを抱きしめてくれた。
す「お前は1人やないんやで。溜め込みすぎんな。周りを頼れ。」
ぎゅっと 抱きしめる腕を 強くするすばる。
ひとしきり泣いた後、ふと、記憶に現れた 人を思い出す。
あ「すばる？」
す「ん？」
あ「今日、マンションの前に 知らない女の人が いたんだけど、今思い出したの。夢ですばるが連れてきた人だった。」
あ「留守みたいだから って、言ってた。すばるを訪ねたのかな。」
す「Aの知らん人？」
あ「多分。会ったことないと思う。」
す「親戚ちゃう？」
あ「すばるくらいの年齢の人いる？」
す「兄貴の嫁さんとか。」
あ「沙世さんじゃなかったよ。」
す「んー。全然わかれへん。」
あ「じゃあ、関係ない人だったのかな。」
す「そうかもしれんな。Aは考えすぎやねんて。」(笑)
あ「そうだね。」(笑)
あ「あ、そういえば その人ママに似てた気がしたから すばる、惚れないでね？」(笑)
冗談で言ったのに すばるがびっくりしたような顔になったから、怪しむように見つめる。
す「Aって もしかして 知らんのか。」
あ「何が？」
す「お前に 年の離れた姉ちゃんがおること。」
え、え、え！？
あ「ちょっと待って。あたし、17年ひとりっ子として 生きてきたんだけど！」
あたしがびっくりしていると すばるはゆっくりと 教えてくれた。
す「Aが生まれて 1年も経たんうちに 花ちゃん離婚してんな。姉ちゃんは その時に父親んとこに残って、お前ら2人だけ 家を出たんよ。」
それから 5年後すばると出会って、さらに2年後に再婚したんだって。
あたしはずっと上の空だった。
○
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 74人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：章佳 | 作成日時：2018年5月23日 21時
