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▼.聖なる夜、想いの共有、或いは。 ページ34

(『▼.酔うならワインじゃなくて』の続き)


12月24日。
クリスマスイブと呼ばれる日。街は活気に溢れ、鮮やかな光に彩られている。

そんな夜に。


「……」
「……」


静かなテーブルの上、並んでいるのは豪華なオードブル。ワインは私の手元にのみ。
向かい合った先、カトラリーも鳴らさずに行儀よくローストビーフを口に運ぶのは上司である。

上質なクラシック音楽が流れる高級レストランで、私は怖い上司___中原さんと二人きりで食事をしていた。
正直怖いし、場違い感スゴいから帰りたい。他に誰もいない個室であるが故に、気まずさが自分の中で倍増する。

そもそも、なんで私なんかがここに連れてこられたのだろう。
仕事が終わったなぁと思ったら中原さんの車に乗せられて気付いたらここにいた訳だけれど。

緊張で味のしない肉を頬張る。

この人、クリスマスイブに私なんかと過ごしていて良いのだろうか。
ちら、と中原さんを見る。

相変わらず綺麗な顔だ。
睫毛が意外と長くて、唇と頬が薄い。
愛人の一人や二人いそうな顔をしている。世の女性が放っておかないと思うのだけれど。


「……美味いか」
「え、あ、はい、美味しいです」


中原さんの問いかけに慌てて答える。
中原さんはそうか、と言いつつ何かを思案しているような顔だ。
首をかしげていると。


「……その、俺は、だな」
「はい」


歯切れ悪く、中原さんは喋り出す。


「手前に迷惑をかけることもあるし、こんな仕事だ、いつ死ぬかもわからねぇ」


……何を言っているのだろうか。


「でも、そばにいてほしい」
「……そりゃ、部下ですし……?」


いますけど。
よく分からなくて呟くと、中原さんは莫迦かよと笑う。


「A」
「はい」

「____好きだ」


……ん?


「俺と一緒になってくれ」


……………え?

言葉を反芻する。
好き、とは、以前聞いたけれど、でも、なんだかあやふやな関係で、恋人だったかと言われればそんな実感はまるで無かった。

戸惑う私に、中原さんはいつもの笑顔を浮かべる。ちょっと意地の悪い笑顔_____。


「なあ、無言は肯定と捉えて良いんだな?」


____断らせるつもりも無いくせに。

(想いの共有、或いは、愛の占得)



2019/12/24 硝子屋
【Merry Christmas!】#1

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硝子屋(プロフ) - 猫また猫さん» 了承ありがとうございます。リクエストですね、少々お待ちください…… (2020年2月24日 23時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - すみません夢主ちゃんと社長は結婚していない設定でお願いします (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
猫また猫 - 硝子屋さん» リクエスト失礼しつれいしますね!!福沢社長で子どもを預かる話をリクエストしたいです社長と夢主ちゃんは結婚している設定で (2020年2月24日 17時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
- あ、全然混浴でなくても大丈夫です!無理をさせてしまいすみませんでした (2020年2月24日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋(プロフ) - 乱歩信者さん» リクありがとうございます!少々お待ちください…… (2020年2月20日 21時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:硝子屋+ソーダ | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月25日 6時

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