小さなMXの物語 (ページ6)

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『何でミニョクが出てくるの』

周りを気にしながら小声で訴える

「…聞いたんだよ」

『誰から？』

「前俺に告ってきた子から」

『は？何て…』

「Aちゃんはミニョクとちゃんと両思いになるといいねって。だからてっきり好きなのかと」

〈あ、ごめんね〉

あの笑顔に騙された

『あの野郎』

「口悪いぞ」

へらへらと笑いながら頬杖をつく

『笑い事じゃないから！どっからそんな嘘』

「まぁ落ち着けって。…そうかそうか」

ニコニコしながら微笑むヒョンウォン
何か…久しぶりに見た気がする

ムカついていた気持ちがすぐ誤魔化される
ふわっと笑うその笑顔で

「俺さ、応援しようと思ってたんだよ」

『応援って』

「そうそう。Aとミニョクを。両思いなら応援しようって思ってさ」

頬杖をつき微笑みながらノートに今度は軽く落書きを始める

また"でもミニョクにお前は釣り合わない"とかそんな言葉が飛んでくるんだと思っていたのに

「でも無理でさ。応援なんて出来るわけなかったんだよなぁ」

『え？』

「よく言うじゃん。好きな人の幸せを願うためだったら自分の身を引いてでも…とかさ。…俺はそんな男らしい奴じゃなかったわ」

『え…ヒョンウォン…』

「俺は…幸せにするのは俺じゃなきゃ嫌だし俺の隣で笑っててほしいって思っちゃう奴だった」

頬杖も落書きも止め
前のめりで覗き込まれる

「いい加減気付け。そんで俺の隣で笑ってろ」

ほっぺをつままれる

『痛い…』

「え…ごめんごめん。どうした？」

ヒョンウォンの慌てっぷりを見てから涙が頬を伝っているんだと気付いた

『痛い…』

「悪かったって。泣くなよぉ」

手を頬に添えながら親指で涙を拭ってくれる

痛い…
胸のあたりがとてつもなく

誰かに掴まれているような

きっと掴んでいる犯人は
目の前にいるこの厚かましい男

じゃなくて
私の好きでたまらない人