小さなMXの物語 (ページ22)

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「…何だよ」

『キヒョン…ごめんね。もう…急に呼び出したり振り回すような事しないから…』

「何の宣言だよ」

今どう思ってるのか表情から読むことは出来ないけど今度はいつもと違う雰囲気に私が耐えられなくなってきた

『ごめん急に。だから…可愛い彼女でもつくってキヒョンは幸せになってっていう話！』

そう言いキヒョンの前から立ち上がろうとすると強い力で手を引かれ阻止される

「お前それよく言えるよな？」

さっきよりも真っ直ぐな視線に今度は私が目をそらす

「何であんな男ばっかなんだよ」

そう
怒って呆れて目を覚ましてほしい

じゃないと私からは離れられそうにない
キヒョンとのこの距離が心地よすぎて…

「なのに俺の幸せの心配？…そろそろ我慢の限界だわ」

『…ごめん』

「……誰のせいで幸せになれないと思ってんだよ」

『…ごめん』

「A」

『…はい』

「俺大学の時から彼女なんていない」

『…え？』

「…好きな人がいるから。簡単に可愛い彼女でもつくって幸せになんて言うな」

口調は怒ってて変わりないのに
胸がざわつき始める

「言っとくけど俺は嫌だったら呼び出されても行かないしAといたいからずっと一緒にいた。Aが振り回したんじゃなくて望んでここにいたんだって」

私の目の前にいる自分の場所を強く指差す

その言葉が私の心臓を突き刺し
目を覚ましたのは私の方だった

「…Aは…俺とは…いたくない？」

今まで色んな表情を見てきた
キヒョン検定があればいいとこまでいけるんじゃないかって思えるくらい知ってるつもりだった

でもこんな事言うキヒョンも
こんな弱々しい表情も…
ずっとそばにいたいと思ってしまう自分も
何もかもが初めてだった

この手を離すことなんて私には…

『…ダメなんだってば…』

「何で…俺から離れようとすんの？」

この関係が崩れるような気しかしなかった
ここにいても離れてももうどっちへ行っても今まで通りの気持ちを保てる自信がない

『…だから…もう迷惑かけたくない』

「なぁ…近付く選択肢はない…？」

こんな真剣なのに…
バカなのか理解が全く出来ない

『…ん？』

「何言ってるかわかんねぇ…って顔してんな」

眉間にシワを寄せて首をひねる私をいつものあのクシャッとした笑顔で暖かい雰囲気に変える