小さなMXの物語 (ページ3)

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こんな感情は生まれて初めてだ

最近のヒョンウォンが
わからない

　
「なぁ聞いてる？」

『え？』

「何ぼーっとしてんの。モバイルバッテリー貸してって」

『あぁ。はい』

「サンキュ」

『すぐ返してよ』

「は？そんな早く充電出来ないから」

『いつもそんな事言って数日後に戻ってくるんですけど。しかも残量も無しで』

「Aさん。もっと心の広〜い人にならないと」

『充分広すぎるほど広いんでご心配なく。今日中か持って帰ってフル充電してこい！』

「ふっ…何だそれ、わかったって」

笑いながらそう言うヒョンウォンはいつも通りで
あの日は…何だったんだろう

告られた

なんて言ってくるって事は
もしかして付き合った…とか

ふと考えると思ってるよりも正直な心臓がドクっと動く

「A帰るぞ」

『あ、うん』

いつも通り他愛もない話をしながら私の家に到着する
1本向こうの道を曲がるとすぐヒョンウォンの家だ

『じゃまた明日』

「なぁ」

『ん？』

「A…何かあった？」

ヒョンウォンがそれ言う？

『何で？』

「いや、何かちょっと最近いつもと違う感じするから何かあったかなって」

ヒョンウォンのせいだ

いつも通りにしてるつもりでもヒョンウォンには簡単にバレる

そう思いながらも普通に接してくるとことか
1日の最後に遠慮がちに聞いてくるとことか

全部が憎くて
どうしようもないくらい

…好きなんだってば

『ヒョンウォンさ…』

「ん？」

『あの子と付き合うの？…ってか…付き合ってる…とか？』

「え…」

『だったら私といない方がいいと思うよ』

何でこんな言葉しか出てこないんだろう
都合よくこれを私の優しさとして受け取ってくれないかな