小さなMXの物語 (ページ20)

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『何言ってんの。怒ってるのは…キヒョンでしょ』

軽く笑って言ったつもりでも
自分でもわかるほど引きつった顔を隠すようにキヒョンに背を向けて鍵を開ける

「なぁ…」

部屋へ入ろうとするといきなり腕をガッと掴まれる

「A…泣いた？」

…キヒョンってほんと

『え…泣いてないって』

「A」

『…目にゴミが入った』

「話せ。何があったか」

空気読めないんだから…

部屋に入っても尚
キヒョンから厳しい視線が送られる

『何もないって』

「信じない」

『ほんとだって』

「A」

『キヒョンの言う通りだった。…これでいい？』

完全に八つ当たりだ

こうやって関係のない人まで傷つける

何回キヒョンを呆れさせて何回キヒョンに迷惑をかけるのか…

これが距離をおくきっかけに…

「頼むって…はぁ」

その声にキヒョンの方を見ると軽く頭を抱えている

「頼むから…一人で泣くなよ」

弱々しく放たれたキヒョンの声は
初めて耳にする声だった

『…キヒョン』

「電話だって俺が出るまで切るなって」

何でキヒョンが言ってくれる言葉は

「…そんな悲しそうな顔するなって」

全て暖かいの？

こんなんじゃ離れられない

「…あいつだろ？A？」

『…キヒョンの言う事聞いときゃよかったよ』

「Aが幸せそうな顔してたから言わなかったけど…あいつ大学の時からかなり遊んでたから…付き合ってほしくなかったんだよ」

あぁ…
そういう人だったんだ

私はどこを見て好きになったんだろう

私の好きなんて薄っぺらいものだと虚しくなる