小さなMXの物語 (ページ15)

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鼻と鼻が当たる距離

上手く息も出来ない

「じゃ…責任とるよ俺が」

『…え』

「俺さ記憶力良くないんだよね。でもね…好きな人のコーヒーの好みだけは忘れないんだよ。すごくない？」

この感情は何て言えばいいんだろう
幸せなんて言葉じゃ収まらないようなそんな感じ

『ウォノ先輩…』

「美味しい店とかも誰にも教えたくない派なんだけど好きな人には教えちゃったし、可愛いから色んな狼に狙われてるのに本人は危機感ゼロだから俺が見張らなきゃだし、どう思ってるか知りたくてこっち見てるのわかってて他の女の子と喋ったりしちゃってさ……これ重症じゃない？」

『うそ…』

「Aちゃん責任とってよ」

うまく頭が回らなくて
でもちゃんと息ができないほど心臓が締め付けられる感覚だけが現実なんだとわからせる

「あれ？普通付き合ってくださいとかだよね」

目の前には私だけに向けられた優しい笑顔がある

『責任とります』

「ふっ…何でそんな可愛いの？」

優しい笑顔のまま優しいキスが再び降ってくる

ゆっくり目を開けるとウォノ先輩の瞳に自分が映るのがわかると同時に嬉しさと恥ずかしさが込み上げる

「そろそろご飯食べに行こっか。じゃないとヤバイかも」

『え？』

「可愛すぎて襲っちゃいそう」

『…狼だ』

「ちょっと待って。うさぎに戻るから」

２人で笑いながら手を繋いで歩く街並みはいつもと違う風景に見えるから不思議

ふと横を通った女の人がウォノ先輩をチラッと見る

そうだ
浮かれてる場合ではないかも

これから会社でもプライベートでも大変だ
もし色気だだ漏れな人とかがウォノ先輩を狙って近付いてきたら…

「ね、これからはさ…クールビューティーで」

『え？』

「なるべく仕事場でもそれ以外でも笑ったり親切にしたらダメだよ」

『…何でですか？』

「そんなことしたらAちゃんの事みんな好きになっちゃうじゃん」

え？

『あはは』

「本気だよ？狼ばっかだってば」

『いやそうじゃなくて…私も今同じような事考えてました』

「え？ふふ…やっぱ俺らは似たもの同士」

そう私達は似たもの同士

「『心配いら…』」

「言葉まで被った！」

驚きと嬉しさで溢れる

「先言って？」

『心配いらないですよ？私の頭の中ウォノ先輩でいっぱいなので』

「先言わすんじゃなかった」

照れながら繋いでる手をグッと引き寄せられる

ほらやっぱり私の心臓を動かすのはこのうさぎさんだけ

-fin-