141話 ページ48
コツン、コツンという靴音が、静かな廊下に反響する。カンテラの小さな明かりは、自分たちの影を壁に映し出し、自分が動くたびに影も動く。
ふと、なかむさんから聞いた壁に染み込む影の話を思い出した。影は、人間となり変わるためにいつも品定めをしていて、気に入った人間を壁の中へ引き摺り込むのだとか。
影が自分がしていない動きをしていたらどうしよう、という想像をして、ぶるりと背筋に冷たいものが走る。そんなこと科学的に考えてあるわけない、と首を振って否定していると、
「あの、Aお姉さん」
と不意にマリーちゃんが声を上げた。
「ん？」
「お姉さんは、どうしてこのお城に来たんですか？」
唐突な問いに戸惑う私に、ごめんなさい、と言う。
「暗くて怖いので……お話しながら進みたくて……」
「あぁ、うん、もちろん！謝らないで、ぜひお話しよう！……えっと、私はね、友達の代わりにここに来たんだ」
この設定懐かしいな、と思いながら言う。
「お友達、ですか？」
「そう。大切な婚約者が迎えに来る前にお城で働くように言われた友達。その子の代わりにここまで来たの」
アンナさんはあれから無事に他国へたどり着けたのだろうか。……幸せになっていて欲しいものだ。
「そうなんですね。……だから、お姉さんはきりやん様の専属にはならなかったんですね。私の代わりは、とても綺麗な声の人だったはずだから」
そう言ってマリーちゃんが目を伏せる。次いで、あ、でもAお姉さんの声が綺麗じゃないってことじゃないですよ、現にシルバーリボンに任命されていますし！と慌てて、その様子が可愛らしくて笑ってしまった。気にしないで、と言って話題を変える。
「マリーちゃんは、どうしてここに？」
「私は……弟が、心臓の病気を患っていて。うちは全然裕福ではないので、手術に使うお金を稼ぐために、お給金のいいここに働きに来ました」
"内政は概ね平和で、目立った綻びはないが貧富差はそれなりに激しい"という教授の報告書を思い出す。……まぁ、完璧な国なんて存在しないのはわかっているし、私にはどうにもできないが。
「そっか、そういうことだったんだ」
その話で合点がいった。初めてきりやんさんのお手伝いに行った時、フィーさんが言ったこと、きりやんさんが言ったこと。
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すみれいん(プロフ) - 114話のお話ってあの動画ですよね…！？違っていたら恥ずかしいんですが、この前急いでみたばっかなのでめちゃくちゃテンション上がりました。ありがとうございます。 (2022年7月19日 21時) (
レス) @page22 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
サンセットマリン - キンコンカンさん» コメントありがとうございます！確かにwwww意図したわけではなかったのですが同列に見えますね……ww (2021年10月1日 13時) (レス) @page50 id: 58697e3d5e (このIDを非表示/違反報告)
キンコンカン(プロフ) - 136話のネズミと虫と幹部が同じ価値みたいに並べられてるの笑ったww (2021年9月29日 22時) (レス) @page43 id: 318aa683f9 (このIDを非表示/違反報告)
サンセットマリン - のんのさん» Twitterに興味を持ってくださりありがとうございます！検索しても出てこない……って、何が原因なんでしょうかね……？ちょっと原因がわからないので、url貼ってみますね。 https://mobile.twitter.com/home です。これで無理ならどうしようかな……？ (2021年9月29日 21時) (レス) id: 58697e3d5e (このIDを非表示/違反報告)
サンセットマリン - そらと。さん» はい！お互い頑張りましょう！！ (2021年9月29日 21時) (レス) id: 58697e3d5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サンセットマリン | 作成日時：2021年9月16日 8時
