56話 ページ10
ラディアさんを待つ合間に、部屋をぐるりと見渡す。
飾り気はないが、綺麗に整頓された機能的な部屋だと思う。何の気なしに彼女が使っていた机の上を見れば、そこには一冊の分厚い本があった。
描かれているのは、遠目でわかりにくいが植物のようだった。一体何の本だろう、と好奇心がわく。
しかし、近づいて見る前に彼女が代えの服を持ってきてくれた。
「はい、着替え。今日は、確かきりやん様の担当だったわね?」
「ありがとうございます。えぇ、そうなんです」
「頑張ってね。……それと、あまり常識的じゃない行動はしないように」
「……怒らないんですか?私が、立ち入り禁止の塔へ行ってしまったことに」
そう言えば、彼女は「言わなかった私が悪いわ」と言った。
「きんとき様に、怒られたでしょう。__私も、後でフォローを入れておくわ」
「そんな……私が軽率だったことですし、ラディアさんにそこまでしていただくわけには、」
「いいのよ。私にはこれくらいしかできないもの。それに__これは聞かなかったことにして欲しいのだけど__あなたには、感謝しているの」
「感謝……ですか?」
「えぇ。幹部様がこんな状態になって、もうしばらく経つけれど__シャークん様のあんな表情、久し振りだったわ」
もしかしたら、あなたは新しい風を入れてくれるのかもね、と。ラディアさんは、優しく微笑んだ。
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すみれ - 続編おめでとうございます!この作品とても好きです! (2022年10月23日 21時) (レス) @page2 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あの、ちょいちょき面白くてクスッと笑ってしまう所がありとても好きなお話です。これから続きを読んできます! (2022年7月19日 21時) (レス) @page50 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
まほ(プロフ) - めっちゃこの小説が大好きで、この小説を読むでいる時間が一番幸せです(^-^)これからもよろしくお願いします (2021年9月16日 16時) (レス) id: dab527b906 (このIDを非表示/違反報告)
サンセットマリン - スカ一さん» はい、大丈夫です。よろしくお願いいたします。 (2021年9月16日 6時) (レス) id: 58697e3d5e (このIDを非表示/違反報告)
スカ一(プロフ) - サンセットマリンさん» おはようございます、お世話になっております。ご了承頂きありがとうございます。では、今回の件はこれにて終了とさせて頂きたく思います。また、作者名、作品名を伏せて事の経緯の説明を当方の作品内でさせて頂いてもよろしいでしょうか? (2021年9月16日 6時) (レス) id: c3f5308968 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サンセットマリン | 作成日時:2021年9月7日 18時