51話 ページ5
「そっか、シャークんさんって幹部様だったのか」
「そこから!?ちょっとA、しっかりしてよー!幹部様のお名前を知らないのは流石にヤバいよ!?」
呆れたようにレンちゃんがこちらを見る。対する私は、手にしたグラスを持ったままそっかそっか、と頷く。
夜に出会った目つきの悪いあの人を、私は足を怪我してストレスが溜まった兵士か何かだと思っていたのだけど。
ところがどっこい、彼こそがこの国の軍事を担う幹部の1人だったのだ。
「えっと、シャークん様が失ったのはなんだっけ?」
「触覚。正確に言うと、足に感覚がなくて、一切動くことができなくなってしまわれたんだって」
なるほど。だからベッドに寝ていたのか。足が悪いっていうのもあながち間違いじゃなかったらしい。
「ものを投げてるのは何で?」
「うーん……そこがウチにはよくわかんないんだよね。そもそもウチ、直接シャークん様にお会いしたことないし」
レンちゃん曰く、この城ではかなり分業制が進んでいて、メイドであっても担当が違えば内情はほとんどわからないのだという。
「メイド同士も一部はめちゃくちゃ仲悪いしね。特に、シャークん様専属のメイドは嫌な子が多いよ。シャークん様が昔1番人気のある幹部様だったからって自分たちは上、みたいな顔してて。他の方の担当のメイドを下に見たり、耳が聞こえないスマイル様の前でご本人の悪口を言ってみたり____まぁ後者をやった子達はもうこの世にはいないけどね」
さらっと恐ろしいことを言ってレンちゃんはそれにしても、と言う。
「A、よくそんな真夜中に北の塔なんかに行ったね。そして、専属じゃないのにシャークん様のところへ行ってよく生きてるよね。てか、よくきんとき様に怒られて無事でいられてるよね」
「……待って、怒涛の情報についていけないんだけど、私の命がめちゃくちゃ危なかったことだけは理解した」
「危なかった、じゃなくて危ない、だよ。現在進行形。何も知らずにシャークん様のところへ行って無事だったって子あんまりいないし、きんとき様に目をつけられて五体満足だった子なんて1人もいないよ?」
Aもしかして精神操るメンタリスト?なんて言ってレンちゃんはけらけら笑うが、マジで笑えない。出来る限り危ない橋は渡りたくないのに。
本当に何故私はこうトラブルばかり、と頭を抱えた時、「ちょっと、よろしいかしら」という声が聞こえた。
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すみれ - 続編おめでとうございます!この作品とても好きです! (2022年10月23日 21時) (レス) @page2 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あの、ちょいちょき面白くてクスッと笑ってしまう所がありとても好きなお話です。これから続きを読んできます! (2022年7月19日 21時) (レス) @page50 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
まほ(プロフ) - めっちゃこの小説が大好きで、この小説を読むでいる時間が一番幸せです(^-^)これからもよろしくお願いします (2021年9月16日 16時) (レス) id: dab527b906 (このIDを非表示/違反報告)
サンセットマリン - スカ一さん» はい、大丈夫です。よろしくお願いいたします。 (2021年9月16日 6時) (レス) id: 58697e3d5e (このIDを非表示/違反報告)
スカ一(プロフ) - サンセットマリンさん» おはようございます、お世話になっております。ご了承頂きありがとうございます。では、今回の件はこれにて終了とさせて頂きたく思います。また、作者名、作品名を伏せて事の経緯の説明を当方の作品内でさせて頂いてもよろしいでしょうか? (2021年9月16日 6時) (レス) id: c3f5308968 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サンセットマリン | 作成日時:2021年9月7日 18時