82話 ページ36
「……遅い」
スマイルさんの部屋から出て、ようやくたどりついた目的の場所＿＿本日の仕事の集合場所＿＿には、恐ろしく美しい女の子が一人、腕を組んで仁王立ちしていた。宝石のような青い瞳が、親の敵とでもいうようにこちらを睨みつけてくる。
彼女の名前はリリー。数日前、私がこのお城で初めて出会って、私を刺し殺そうとしていた子だ。ちなみに、そのことについては一切触れていない。別にいいんだけどね。
「ごめんなさい、あの、本当に色々あって」
「言い訳は要らない。ここで生き残りたければ、何があろうと時間を守る努力をしなさい」
「はい……」
度を超した美しさは向き合う人間を隷属させるとはよく言ったもので、私は多分私よりも数歳下の女の子の言葉にシュン、とするしかなかった。
「今からあなたには、ぶるーく様の担当の仕事を覚えてもらうわ」
「……え！？」
「何驚いた顔をしているの？……フィーから聞いていないの？」
「あー……いや、大丈夫です。ぶるーく様、ぶるーく様ですね」
昨日はなかむ様のことがあったのでフィーさんと今日の話をすることをすっかり忘れていました＿＿と言ったらまた怒られそうだったので、お茶を濁しておいた。あと、ぶるーく様にはついさっきあったばかりなんですが、という言葉も。
リリーちゃん____いやもう、その立ち振る舞いや貫禄はリリーさんと呼ぶにふさわしい____リリーさんは私の言動に軽く眉を潜めたが、特に何も言うことはないまま仕事の内容と注意点を説明するわ、と言った。
そして、私の方をじっと見つめる。頭のてっぺんからつま先まで、視線が動いた。やがて、小さくため息。
「……と、思ったけれど。あなたはぶるーく様に直接関わることはできなさそうね。着いてきなさい。別の人間に紹介するわ」
「へ？」
「彼の専属は、専属メイドの中でも二つに役職が分かれているの。一つは、洗濯や部屋の掃除なんかのお部屋に関わる役職。所謂雑用係ね。もう一つが、ぶるーく様に直接関わること＿＿給仕やお仕事の補佐、あとは＿＿夜のお相手なんかも。そして、あなたには今回、前者に着いてもらうわ」
「は、はぁ、後者とかやっていける気がしないので全然大丈夫ですけど＿＿一体何で判断したんですか？容姿とか？」
冗談半分で尋ねてみれば、「顔よ」と返事が返ってきた。
真顔だった。
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すみれ - 続編おめでとうございます!この作品とても好きです! (2022年10月23日 21時) (
レス) @page2 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あの、ちょいちょき面白くてクスッと笑ってしまう所がありとても好きなお話です。これから続きを読んできます！ (2022年7月19日 21時) (レス) @page50 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
まほ(プロフ) - めっちゃこの小説が大好きで、この小説を読むでいる時間が一番幸せです(^-^)これからもよろしくお願いします (2021年9月16日 16時) (レス) id: dab527b906 (このIDを非表示/違反報告)
サンセットマリン - スカ一さん» はい、大丈夫です。よろしくお願いいたします。 (2021年9月16日 6時) (レス) id: 58697e3d5e (このIDを非表示/違反報告)
スカ一(プロフ) - サンセットマリンさん» おはようございます、お世話になっております。ご了承頂きありがとうございます。では、今回の件はこれにて終了とさせて頂きたく思います。また、作者名、作品名を伏せて事の経緯の説明を当方の作品内でさせて頂いてもよろしいでしょうか？ (2021年9月16日 6時) (レス) id: c3f5308968 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サンセットマリン | 作成日時：2021年9月7日 18時
