57話 ページ11
「は〜い、こんにちは、Aちゃん〜。私が〜今日のあなたの教育係をする、フィリアです!気軽にフィーって呼んでもらえたら嬉しいな〜」
きりやんさんの専属メイドだというフィリアさん、フィーさんは、ふわふわにカールした薄茶の長い髪に糸目の、のんびりした口調の女性だった。
口調の通り、纏うオーラがどこまでものほんとしていて、一緒にいると眠たくなってしまいそうだ。
しかし、そんなのんびりした様子とは裏腹にその声はとてもよく響く独特なもので、世界線が違えば大きな劇場で歌姫として活躍していてもおかしくないくらい美しい。
「よろしくお願いします、フィーさん」
「うん、よろしくね〜! じゃあ、早速お仕事について説明するね。きりやん様の担当のメイドがやるべきは〜、通常のお掃除に加えて、きりやん様ご本人の身の回りの色々なお世話。禁止事項は〜、きりやん様が悲しくなるような話題を出さないこと」
「きりやん様が悲しくならないような、ですか」
「そう。例えば、アウトドアの話とか、ものの姿形についてとか……まぁ、視角全般に関わることかな? あと、これは最近のことなんだけどね〜、きりやん様の前では、なるべく自分の現状や将来の夢なんかを語らない方がいいよ〜」
「どうしてですか?」
「う〜ん、なんて言ったらいいのかなぁ。きりやん様は、ご自身のお世話を私たちメイドにさせていることをとても申し訳なく思っているみたいで……前まではそんなことなかったらしいんだけど、少し、自己肯定感を失いつつあられるの。だから、あんまり」
「なるほど……」
フィーさんに言われたことを頭の中で反芻していると、「あ、それと、」と言われる。
「はい、どんな禁止事項ですか?」
「ううん、ちがくて。えっと、Aちゃん。マリーちゃんを守ってくれて、ありがとうね。そして、どうかきりやん様にあの子のことを聞かれたら、お城を出て幸せに暮らしているって報告を受けた、って言ってあげて欲しいんだ」
「はい?」
「……色々、あるんだよね〜……」
そう言ったフィーさんの顔は、どこまでも複雑そうで、悲しそうだった。
747人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すみれ - 続編おめでとうございます!この作品とても好きです! (2022年10月23日 21時) (レス) @page2 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あの、ちょいちょき面白くてクスッと笑ってしまう所がありとても好きなお話です。これから続きを読んできます! (2022年7月19日 21時) (レス) @page50 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
まほ(プロフ) - めっちゃこの小説が大好きで、この小説を読むでいる時間が一番幸せです(^-^)これからもよろしくお願いします (2021年9月16日 16時) (レス) id: dab527b906 (このIDを非表示/違反報告)
サンセットマリン - スカ一さん» はい、大丈夫です。よろしくお願いいたします。 (2021年9月16日 6時) (レス) id: 58697e3d5e (このIDを非表示/違反報告)
スカ一(プロフ) - サンセットマリンさん» おはようございます、お世話になっております。ご了承頂きありがとうございます。では、今回の件はこれにて終了とさせて頂きたく思います。また、作者名、作品名を伏せて事の経緯の説明を当方の作品内でさせて頂いてもよろしいでしょうか? (2021年9月16日 6時) (レス) id: c3f5308968 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サンセットマリン | 作成日時:2021年9月7日 18時