77話 ページ31
とりあえず真っ直ぐ廊下を進むが、私はまだこの城の地理を完璧に把握していない。地の利では彼に勝つことは難しいだろう。
ならば、どうするか。_______意表をつくような行動しかない。
急ブレーキをかけて、くるりと振り返る。わーい、とでも言いたげな笑顔の彼と一瞬だけ目が合って、その脇をするりと抜けて、反対側へ。すぐに曲がって、階段へ出た。階段には、洗濯ものを抱えたメイドさんが1人いて、ダッシュで現れた私を見て「えっ!?」と困惑した顔をした。
「ごめんなさいどいてください!!」
叫んでその脇を駆け抜けて下の階、2階へ向かう。数秒後に、「ぶ、ぶるーく様!?」というメイドさんの叫び声が聞こえた。
_____速い。
異変に気づいたらしい使用人たちが何事かと私を見て、おそらくその後ろのぶるーくさんも見て、ギョッとした顔で蜘蛛の子を散らすように穿けていく。
「え、A!?」というレンちゃんの声も聞こえたが、朝の挨拶をしている余裕はなかった。窓から見えた時計塔で時間を確認する。_______残り5分。
使用人たちの間をジグザグに縫って進み、少しだけ稼げた時間を使って会いていた部屋に飛び込む。息を整え、一度深呼吸。心臓がドクドクと音を立てていた。
しかし、いつまでもここにいるわけにはいかない。そもそもここはどこなんだ。妙に埃っぽいし、薄暗い。多分、倉庫か何かなのだろう。雑然と物が置いてある。
ふと、古ぼけた机の上に一冊の本__日記帳だろうか?があることに気がついた。こんな時になんだが何故か妙に気になった。その中身を見ようとして、
ガチャリ、と静かに開いた扉に息をつめた。
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すみれ - 続編おめでとうございます!この作品とても好きです! (2022年10月23日 21時) (レス) @page2 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あの、ちょいちょき面白くてクスッと笑ってしまう所がありとても好きなお話です。これから続きを読んできます! (2022年7月19日 21時) (レス) @page50 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
まほ(プロフ) - めっちゃこの小説が大好きで、この小説を読むでいる時間が一番幸せです(^-^)これからもよろしくお願いします (2021年9月16日 16時) (レス) id: dab527b906 (このIDを非表示/違反報告)
サンセットマリン - スカ一さん» はい、大丈夫です。よろしくお願いいたします。 (2021年9月16日 6時) (レス) id: 58697e3d5e (このIDを非表示/違反報告)
スカ一(プロフ) - サンセットマリンさん» おはようございます、お世話になっております。ご了承頂きありがとうございます。では、今回の件はこれにて終了とさせて頂きたく思います。また、作者名、作品名を伏せて事の経緯の説明を当方の作品内でさせて頂いてもよろしいでしょうか? (2021年9月16日 6時) (レス) id: c3f5308968 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サンセットマリン | 作成日時:2021年9月7日 18時