67話 ページ21
Noside
「や、」
己に迫ってくる綺麗な水色を見て、状況を正しく理解した女の思考は、そこで停止した。彼女の頭から、自分の立場や相手の立場など、全てが吹き飛ぶ。真っ白にある頭の中に対して、しかし身体は身につけた防衛術を忘れてはいなかった。
「やだーーーーーー!!!!」
まるで子供のような拒絶の言葉。その舌の根も乾かぬうちに身体が動く。
押し倒され組み敷かれたAは、まず、手を前に持ってきて、一度パン!と鳴らした。静かな部屋にその音は良く響いた。
所謂“猫だまし”に気を取られたなかむの腕を素早く掴み、「わっ!?」という悲鳴を無視して“肘かっくん”のような状態にする。バランスを崩したなかむがAの方へと倒れかかり、抱き合っているかのような、密着した状態になる。
しかしそれは数秒にもならない僅かの時間だった。一瞬でAが身体を思い切り横にずらし、支えるものがなくなったなかむの身体がベふっとベッドに落ちる。
その隙を逃さずに、Aは腹筋を使って起き上がった。すぐさまベッドから降りて、うつ伏せになっている相手の腕を掴んで持ち上げて、ひねりあげた。
__その間、僅か十数秒。目にも留まらぬ早業だった。
格闘家も目を見張りかねない早業を繰り出した本人はしかし、相手の腕をギリギリと押さえつけながら、真っ赤に赤面して、涙目ではあはあと息を吐いていた。その姿はまるで乙女のようだった__小柄とはいえ大の男を押さえつけていたが。
彼女が正気を取り戻したのは、立場が逆転して押さえつけていた男が「痛い!!離して、腕痛い!」と悲鳴を上げた時だった。赤面していた表情が普通になって、何か考える表情になって、ハッとして、みるみるうちにその顔が青ざめる。
バッ!!という効果音がつくほど勢いよく手を離して、床に膝と手をつくと深々と頭を下げた。綺麗な形の、土下座だった。そして、
「申し訳ありませんでした!!!!怖くて身体が勝手に動きました!!!」
なんとも言えない謝罪を口にした。
_______________________
最強なのに男の人の力には勝てない女子もいる世界ですがAちゃんは間違いなくこう(確信)
ちなみに防衛術とか言ってますが作者は格闘技も人体についてもかじったことがない全くのド素人ですので一連の描写は全て作者の頭の中の妄想です。間違っても現実で参考にしないでください。マジで。
748人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すみれ - 続編おめでとうございます!この作品とても好きです! (2022年10月23日 21時) (レス) @page2 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あの、ちょいちょき面白くてクスッと笑ってしまう所がありとても好きなお話です。これから続きを読んできます! (2022年7月19日 21時) (レス) @page50 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
まほ(プロフ) - めっちゃこの小説が大好きで、この小説を読むでいる時間が一番幸せです(^-^)これからもよろしくお願いします (2021年9月16日 16時) (レス) id: dab527b906 (このIDを非表示/違反報告)
サンセットマリン - スカ一さん» はい、大丈夫です。よろしくお願いいたします。 (2021年9月16日 6時) (レス) id: 58697e3d5e (このIDを非表示/違反報告)
スカ一(プロフ) - サンセットマリンさん» おはようございます、お世話になっております。ご了承頂きありがとうございます。では、今回の件はこれにて終了とさせて頂きたく思います。また、作者名、作品名を伏せて事の経緯の説明を当方の作品内でさせて頂いてもよろしいでしょうか? (2021年9月16日 6時) (レス) id: c3f5308968 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サンセットマリン | 作成日時:2021年9月7日 18時