芸能界に入った理由 ページ11
「私ね…スカウトされたとき、海に入って水びだしで裸足で自転車を漕いでたの。
ほんでね、坂を全力で下ってた高校1年の初夏。
海藻が足に張り付いてるし…しかも、海臭いし…
撮影があること知らんで、坂を走ってたもんで急ブレーキをかけてド派手に転んだの。」
ウンソル「ド派手に…?」
「うん。
しかも…顔からこけたもんで鼻血は出るし、体中すりむくし、ひざから血が出るし…
次の日青痰だらけ。
そしたらね、次の日学校に今の社長が現れた。」
ウンソル「え…」
やっぱり、ひいてやんの。
「社長に…自転車こいでる姿に一目惚れした。
あそこまで必死に生きてる女子は珍しいって言われたの。
だからあなたを女優としてスカウトしたいって言われたけど、詐欺だって思って家に連れて帰ったの。
そしたら…家族もみんなびっくり。女優のパク・ソンヒを呼び出したの。だから、芸能人になること決めたの。」
そう言って笑う。
ウンソル「Aさんは…女優になるつもりがなかったんですか?」
「ただ…最初の仕事で別人になれた。そう思うだけで…嬉しくて、たまらなくて…女優になったら別の人になりきれる。
工場の娘でひぃこら言わなくて、兄妹の長女でなくても許されるし…楽しいの。
だって…大卒じゃない私が医者や弁護士の役やれるんだよ?
小さな町工場で5人兄弟で育ったのに、お金持ちのお嬢様でもできる。
それに自分が望めば刑事にでも政治家にでも殺人鬼にも詐欺師にも何でもなれるの。
でもよーく考えてみればうちの事務所はそう言う人間が多いかも。」
ウンソル「え…?」
「ハナも笑わなくて、おばあちゃんが心配して子どもの頃、事務所に入れたら楽しくて、今も続けてる。
ナコだって同じ…boyfriendに会いたい。それだけでモデルになったの。しかも…家電量販店の前でboyfriendのキャーって騒いでたところをスカウトされたの。
だけどなんでウンソルは歌手になったの?」
そう言って聞いてみれば…少し戸惑ったように答え始めた…。そして…彼女の顔が暗い理由も気づいた…。
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作者名:いっちー | 作成日時:2014年1月3日 12時