保健室の王子様-Genki.I- 4 ページ38
.
保健室の王子様 1
続きのお話です
***
この状況は、いったいなんなんだろうか。
保健室のベッドに横になることなく、布団を膝までかけて座る私。
そして、その横で
私に背を向けて、同じベッドに腰掛けている岩橋玄樹と名乗る人。
彼の背中しか見えないけど、きっととてもふてくされていて
締め切られたカーテンの中の狭い空間で、お互い無言のまま、時間だけが過ぎる。
少し前屈みになると、彼の横顔が見えて、
ぷくっと頬を膨らませては、可愛らしい唇からぶすっと空気を抜いて
ずっとそれの繰り返し。
……どうしよう。
混乱する頭の中で必死に状況を整理しようにも、つい先程までの記憶を思い出しては
ドキドキと高鳴り出す鼓動を抑えることに専念するしか無かった。
「ねぇ」
静寂を破ったのは、私の鼓動を早めている原因の、紛れもない当事者だった。
『……はい、』
「なに、さっきの」
体調が悪くて、授業を抜け出してきたはずなのに
気怠さはいつの間にかなくなっていて、その代わりに異変があるとすれば彼に対する緊張だ。
そんな私を知ってか知らずか、彼は片膝をベッドに乗せ、まっすぐに私を見た。
『えっと、…さっきの……とは…』
「とぼけてるの？さっき、俺がこうやってAちゃんに近づいたとき、Aちゃん俺のこと受け入れたよね？だからこうやってキスしようと、」
『ちょっ……ストップストップ』
つい5分前の出来事を再現するように、彼が私に覆い被さりそうになったところを必死に食い止める。
言わせた私が悪いけど、しっかりと説明してくる言葉のリアルさにまたドキドキと心臓が鳴り始めた。
「嫌なんだ、俺のこと」
『嫌とか…そういうんじゃなくて、』
「じゃあ何？」
私が責められる前に、解決しなきゃいけない問題がたくさんある。
全部をどっかに投げて、急に踏み込んだのは彼だもん。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1593人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
hinata(プロフ) - ゆかさん» いつも読んでいただきありがとうございます！！ずっと見てくださってるなんて…ほんと嬉しすぎます！(；；)そう言っていただけるならいくらでも書きますので！これからもぜひよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年2月16日 23時) (
レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - 月さん» はじめまして！！読んでいただきありがとうございます(；；)リピ読み…！めちゃめちゃ嬉しいです！！！また気が向いたときにお読みいただければ幸いです…！コメントもありがとうございました！！ (2021年2月16日 23時) (レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - 更新嬉しいです！ずっとお気に入り作者登録しております。また新作書いてください！飛んできますので！笑 (2021年2月15日 0時) (レス) id: 3890b64e54 (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - hinataさんはじめまして。完結おめでとうございます！保健室とベッド好きすぎてリピ読みさせてもらってます！ (2021年2月14日 23時) (レス) id: 11039f4f3f (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - AAAさん» わああとっても嬉しいです(；；) ドキドキしながら投稿したのでそんなこと言っていただけるなんて、、 わたしも頭の中で続編考えてしまいました笑 これからもよろしくお願いします！m(_ _)m (2020年4月14日 19時) (レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：hinata
| 作成日時：2019年8月18日 5時
