想いを賭けた流れ星〈しょうれん〉 ページ37
平野
ーー流星群。
それは、その軌跡が天球上のある一点を
中心に放射状に広がるように
出現する一群の流星のこと。
ーー流星。
それは、夜間に天空のある点で
生じた光が一定の距離を移動して
消える現象のこと。
一般的に流れ星とも呼ばれる。
今日はその“
別に、たかだか夜空を流れる
流れ星なんかで浮き足立って、
子供じゃないんだからって思った？
でもね
俺は今日、この星に賭けをしたんだ。
一世一代の大勝負。
「紫耀？流れ星見えなくなるで」
「ああ、ごめん」
時計を見れば、
もうすぐ日付が変わるって時間帯。
そろそろ
夜の10時半前
突然なったインターフォン。
扉を開けると、やけに暖かそうな
格好をした廉がいて。
「今日流星群が見れるんやって」
そう言って差し出されたのは
・・・望遠鏡？
「一緒に行くで」
「はっ、ちょっと！」
否定も肯定もする間も無く
腕を引かれて家を出た。
車の鍵を開け、助手席に廉を乗せ
彼の言う通りに車を走らせる。
そうしてついたのが、この丘ってわけ。
廉はと言うと、
すでに望遠鏡を設置し終え
何度も中を覗き込んでは
目をキラキラと輝かせている。
かくいう俺もあとは星が
流れるのを待つだけ。
そこで、さっきの賭け。
この流れ星が流れる瞬間、
だったの数秒にも満たない時間。
この間に、彼への想いを３回。
心の中で唱えることができたのなら
その時は、星の力をお借りして
告白するって決めたんだ。
成功するかはわからない。
でも、少しでも希望があるのなら
それだけで告白する価値はあると思う。
流星群を一緒に見るなんて
ロマンチックなこと、
好きな人相手じゃないと誘えない。
少なくとも俺は。
だから、もしも廉が同じ気持ちなら。
そう願ってはやまないんだ。
「そろそろやな、」
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作者名：うめもも | 作成日時：2021年9月13日 13時
