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「あー鬱陶しい。あの人香水くさいねん」
ぶつぶつと文句を言いながら
裏の控え室へと入ってきた一人の男。
少し高めの甘い声に
やんわりとした関西弁。
端正な顔立ちの彼は
少々お口が悪いようだ。
「まあ落ち着いて。
あの人廉のお得意様でしょ、
大事にしないと」
どうやら関西弁の彼は“廉”と言うらしい。
そして、そんな彼をなだめるように
声をかけたのは
綺麗な黒髪の
こちらもまた端正な顔立ちの男。
「ねぇ廉。
裏では文句言っててもいいけど、
お客様の前で態度に出したりはしてないよね」
「当たり前やろ、じん。
そんなんしたら人気ガタ落ちやわ」
廉はめんどくさそうに腕時計を外すと
隣に置いてある違う時計を付け直した。
テーブルに置かれた腕時計は
某有名ブランドの物。
「この時計さっきの人からの？」
「そ、この間のイベントで貰ったやつ。
今日来る言うてたから付けたけど、
正直デザイン好きやないねんな」
「だからって俺があげた時計つけなくても、」
「いーの。俺はこれが一番好きやねん。
・・・じんからの愛情込みで」
「あっいたいた。廉ー○○番テーブル指名」
じんと呼ばれる彼が口を開いたその時、
ひょこっと顔を覗かせたのは
彫りの深いソース顔と可愛らしい声を持つ
これまた綺麗な顔の男。
「あーい、行ってくるわ」
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作者名：うめもも | 作成日時：2021年9月13日 13時
