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さんじゅうご ページ37

□■□
「……何をしているんだ?相楽」


上から覗き込む風見さんを、膝を抱えたままキッと睨みつけた

静かにしてください。そう言うと風見さんは大きなため息を漏らした


私は今風見さんがいる公安部のフロアで風見さんのデスクの下で息を潜めている



『報告書の確認だけしに来たら降谷さんから"どこにいるんだ"ってメッセージが来て家ですって答えたのに"もう資料室の辺りまで来てるからな"って返ってきたんですよ…!』


資料室の辺りなんてもう少しでこのフロアに来てしまうではないか…廊下で鉢合わせなんてしたくない、と思い慌ててデスクの下に隠れたのだ



『…って嘘、今ドアの前にいるって…あの人何?メリーさん?』



独り言のようにブツブツと言っているとガチャっとドアが開く音が聞こえ、慌てて両手で口を覆った
コツコツと革靴が床に当たる音がやけにハッキリと聞こえる


「お疲れ、風見」


「お、お疲れ様です!降谷さん」


紛れもない、降谷さんの声だ。いい加減直接お礼を言おうと思っていたのについ反射的に隠れてしまった


「…で、Aはどこだ?」


彼の口から出た私の名前に思わずビクッと肩を揺らした
風見さんがうまく誤魔化してくれればいいんだけど


「え、と…さっきまでいたのですがもう帰ると言っていたのでここにはいないですね」


「そうか…"これ"拾ったんだけどどうしようか」


2人の姿は見えないが、降谷さんが"これ"というワードを強調して言ったことが気になって耳を澄ました
一体なんだろう、ここで大人しく聞いていよう。そう思った時にはもう遅かった


目の前の床に転がってきたそれは、私がいつも持ち歩いているはずの香水のアトマイザー


私は思わずそれに手を伸ばしてしまった


『あ…やべ……』


急いで手を引こうとした瞬間、パシッと左の手首を掴まれた
腕まくりされたシャツから覗くその褐色肌

しゃがんでこちらを覗き込む青い瞳が視線を送る


『お、お疲れ様です…降谷さん』


全身から変な汗が吹き出てくるような、とはまさにこれなのだろうと悟った

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作成日時:2024年2月28日 19時

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