そういうんじゃなくて【降谷零】 (ページ31)

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にじゅうきゅうページ31

この落し物、使えるかもしれない…と僕の中にある考えが浮かんだ

「これ、僕が預かっててもいいかな？その女性の特徴とよく似た人が知り合いにいて、もしそうだったら僕が返しておくよ」

「うん！」

「お願いします！」

「そん時にもう1回お礼言っといてほしい！」

そんな子供たちの言葉に返事をしながら
これでAを釣ろうなんて考えていた

僕はそのアトマイザーをポケットに入れて再びカウンターに戻った

お昼を過ぎると4人組の高校生やコナンくんたち、他のお客さんもお店を後にして先程の賑わいと打って変わって店内が静かになる
洗い物をしているとまたドアのベルが鳴り、目線を向けるとそこにはさっき帰ったはずのコナンくんがいた

「コナンくん……もしかして、さっきの？」

小声で話していたコナンくんが気になることとは何なのだろう
頷いたコナンくんをカウンターの端の席に案内した

「そのお姉さんが木から落ちた元太を助けたときなんだけどさ…動きが他の人と違ったって言うか、僕の思い違いかもしれないんだけど」

動きにくい服装だったにも関わらず咄嗟に元太の元へ駆けつけられる足の速さ、判断力、そしてジャンプしてボールを落としたときの運動能力の高さ、狙いの正確さ、全てが一般の女性よりも優れていたとコナンくんは話した

もしかして彼はその女性が一般人とは逸脱した存在…例えば、黒の組織の人間かと思ったのだろうか

「コナンくんはその女性を見てどう思ったの？」

「もしかしたら、組織の人間なんじゃないかって…でも、そんな悪い予感の隙間から何か違うものも見えた気がしたんだ。上手く言葉に表せないんだけど…完全に黒には見えなかったな」

コナンくんは声を落としてそう言った

「なるほど…でも大丈夫だよ。コナンくんには危害は加わらないから」

「どうして…？安室さん、その人知ってるの？」

「少し似ている人がいるだけだよ、でもその人は絶対に黒じゃない。その人と僕を信じてくれるかい？」

捜査一課を辞めてまで自ら潜入調査に名乗り出たA
おそらく彼女はアイツの…ヒロの遺志を継いだのだろう

「…うん。分かった。もしよかったら今度その人に会ってみたいな…味方、なんだよね？」

"安室透の"ではなく"降谷零の"と彼の目が訴えかけてきた

「あぁ、そうだよ」