にじゅうはち ページ30
「それ、どこで拾ったの?」と問えば「公園で木に引っかかったボールを取ってくれたお姉さんのカバンから落ちてたみたいなんだけど、それに気づかないで帰っちゃったんだ」とコナンくんが答えた
「しかも僕達も気がつくのが遅くて拾ったのはお姉さんがいなくなってしばらく経ってからだったんです」
光彦くんがそう付け足した
「どうしてそのお姉さんのだってわかったんだい?」
「実はボール取ってもらった前にオレが木から落ちた時に助けてくれてよ、そん時にこれと同じ匂いがしたんだ!オレは鼻がいいから間違ってはないと思うぜ!」
なるほど、とそのアトマイザーを歩美ちゃんから受け取って匂いが広がらない程度に少し蓋を外して鼻を近づけた
「………!」
鼻をかすめたその香りは、
「金木犀、だよね?」
香水の香りに支配されかけていた意識をコナンくんの声が引き戻した
「そうだね。これは金木犀の香りだ…。そのお姉さん、何か特徴は無かったかい?」
「うーん…特徴かぁ」
歩美ちゃんが目線を上に移動させた
もしかすると、そうなのかもしれない。と子供たちの言葉を待つ
「あ!すごく可愛い人だった!」
「確かに笑顔が素敵な人でしたね〜…えっと、髪の毛はこの位だった気がします」
と光彦くんが自分の鎖骨辺りを指した
ふと頭に浮かぶのはあの日ラスティとして髪を下ろして現れたAの姿
「すげー足が早かったな。それで俺は怪我しなくてすんだんだ!あと、めちゃくちゃ高く飛んでボール取ってくれたんだぜ!」
運動神経の良さ…警察学校で成績優秀だったと聞いていたA。それは学科だけでなく実技でもそうだったという
その後色々とこうじゃなかったか、と話を弾ませている3人とは裏腹に険しい顔をしたコナンくんが気になった
「どうかした?コナンくん」
3人が夢中で話している隙にこっそりとコナンに耳打ちした
するとコナンは首を横に振った
「ううん。なんでもないよ…ただ、ちょっと気になることがあるんだけど……」
今は話せない、とでも言いたげな顔をしている
「わかった。また時間ある時に聞かせてくれるかな?」
コナンくんはこくりと頷いた
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作成日時:2024年2月28日 19時