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じゅうご ページ17

降谷さんに嫌われただろうか
そもそも好かれているのかなんて分からないけど



そんなことを考えながらやっと見つけた青い瞳
私は必死に口を開いた



"た、す、け、て"



口をそう動かせば降谷さん__バーボン__はハッとした表情になり、私からベルモットを引き剥がしてその間に入った
彼が近くに来てくれた安心感で私はその場に座り込んでしまった



ベルモットと対峙する彼の背中が目に入ったと思ったら彼は着ていた上着を脱いでバサッと私の頭にかけた



視界が真っ暗になり一瞬困惑したがこれはおそらく彼なりの気遣い
きっと今私が誰にも見られたくないと思っていることに気がついてくれたのだろう



ふわりと漂う、いつも近くで感じるその香りにキュッと胸が締め付けられた



「何するの?バーボン、これから楽しいところだったのに」



「あなたこそ何をしているのですか?あなたの任務はラスティからこれを受け取るだけでしょう?」



「ふふっ、そんなに怒らないでよ。まぁでもあなたがそこまで必死になるなら仕方ないわ…じゃあね子猫ちゃん」



暗闇の中、会話だけ聞いていたら突然降ってきたベルモットの声にビクッと肩が震える



ヒールの音が段々と遠ざかって、やがて辺りは静寂に包まれた
バーボンはどこにいるのだろうか



「……大丈夫ですか?」



彼の上着越しに聞きなれた声がする
張り詰めていたものが切れて涙が流れてくる



本当は今すぐ抱きしめてほしい。ベルモットに触られたところを上書きするみたいに、きつく、ぎゅっと彼に包まれたかった



でも、それ以上に彼にあんな姿を見られたのが嫌だった



『一人に、してください…』



心配してくれてる彼の質問に答えることなく彼を突き放す
冷たいと思われてもいい。こうでもしないと彼に甘えてしまうから



『私を…見ないで』



「……あとで落ち着いたら連絡くださいね、必ず」


彼の言葉にゆっくりと頷くと、また足音が遠ざかっていく




仕事ばかりで季節なんて感じている暇がない。それでもまだ春の夜は冷える


ゆっくりと上着から顔を出す


ぎゅっと抱きしめた上着は暖かくて、それは今1番欲しい彼の温もりだった

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作成日時:2024年2月28日 19時

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