そういうんじゃなくて【降谷零】 (ページ12)

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じゅうページ12

『あーあ…後で風見さんにちゃんと訂正しておかないと』

仮眠室に着くとAはそう言ってゆっくりと手を離した
なんだかんだ言いながら握った手を雑に振りほどかれたことは無い

「別に訂正することなんてないだろ？」

『降谷さんがそんなんだから色んな人に勘違いされるんですよ！この前だって風見さんに用事があってきた時に風見さんと一緒にいた捜査員に聞かれたんですからね…』

少し怒った顔で僕を見上げるA
本当に申し訳ないが彼女の怒りなんて微塵も感じることができないくらいその表情が可愛いと思ってしまう

『からかうなら好きな人のことからかってください！私ちゃんと寝るので降谷さんも寝てくださいね！』

眠そうな割によく声が出るなと思っていたら半ば強引に背中を押され仮眠室を追い出された

さすがにからかいすぎたか…

それに僕も明日はベルモットと会うことになっている。彼女と会う時はいつも気を張っていなければいけない
少しでも気を抜けば彼女のペースに持っていかれてしまう

なんとなくポケットからスマホを取りだし、そういえばもう日付超えているのか…なんて思いながらすぐにポケットにしまった

さっきのAの言葉を思い出し、悔しいがいくつになっても気になる人の事はからかいたくなるものだと思った

「………おやすみ、A。

お前が元気になったらまたからかってやるからな」

もう眠りについただろうか、それとも起きていてもこの扉越しでは聞こえないだろうか